西洋亭 市
ソースカツ丼の「冷やし」

図書館か植物園に来たようです。漫画から専門書まで幅広いジャンルの本が書棚に並び、観葉植物が目に優しい。前橋でいま一番ホットな馬場川通り沿いにありながら、喧騒を忘れほっと一息つける空間です。

1915（大正４）年創業「元祖ソースカツ丼」の店に革新的な「冷やし」があるとか。

「汁ソースカツ丼」がそれでした。カツを１枚から３枚まで選べます。平均でいきましょう。

大きくて薄いカツが４枚乗った雑炊が出てきました。カツは１枚を半分に切っています。元は相当大きかったでしょうね。

汁に浸かりきる前にまずカツを1枚がぶり。表側のサクッとした食感と汁が染みた裏側の柔らかさを同時に味わえます。

創業以来の秘伝のソースは醤油をベースにソースや酢が加えられています。甘さはなく、すっきりした味わい。だからでしょう、鰹節やシイタケから取った和出汁に違和感なく合います。

ご飯は雑穀米。ダイコン、ニンジン、キュウリの細切りが添えられ、健康的な丼ですね。

汁ソースカツ丼は歴史ある店を引き継いだ現在の店主、小菅絵里さんが考案しました。戦後すぐに建てられた店舗はエアコンの効きが悪く、「夏場に冷たいカツ丼を提供したい」との思いからでした。

当初は「得体の知れない物」と煙たがれましたが、すぐにはまる人が続出しました。いまでは温かい汁ソースも含め通年メニューに昇格。ソースカツ丼、カツカレーと並ぶ３本柱になっています。

食後はセルフのアイスコーヒーをいただき、久しぶりに本に親しみました。