蕎麦 山海酒屋 山人
トロトロ煮豚を炙れば旨し

箸で持ち上げると、ホロリと切れてしまいそうなトロトロの煮豚。蕎麦前のつまみによし、ご飯のおかずにもよし。看板メニュー「トロトロ煮豚のあぶり焼」でT-1グランプリに参戦しています。

県産の豚バラ軟骨を下茹でしてから特製の醤油ベースの汁で半日かけじっくり煮込むそうです。注文が入ると、一枚ずつ丁寧に炙って出来上がり。香ばしさが加わりますね。

大きな塊が４枚並びます。たっぷり300㌘ほど。口の中でとろけそうに柔らかですが、ほどよい食感は残ります。圧力鍋で一気に調理するのではなく、時間をかけてコトコト煮込むからでしょう。手間がかった分、美味しくなります。

醤油、砂糖、酒を中心にした素朴な味付けも豚の旨味、特に脂身の甘味を上手く引き出しています。T-1は単品での提供ですが、丼物もあります。肉が少なくなりますが、ご飯と一緒なら十分。チーズやおろしポン酢といったトッピングも楽しめます。

ミニサイズの丼もあるので、ぜひ、こちらの蕎麦とともに味わってほしいですね。

粗挽きで荒く切った色黒の蕎麦は店名通り、野趣あふれる独特の風合い。噛むたびに香りが広がるガッツリ系で豚汁や豚カレー汁によく合います。豚の“二刀流”を楽しめます。

カレー汁と蕎麦、ご飯が付く豚カリーセットで過去にT-1を制しました。「前橋を美食の街として盛り上げたい。固定概念に縛られず、新しい料理を作ります」。若き店主、岸智浩さんは頼もしい。