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【グルメ散歩⑫】
前橋・大胡地区
個性派レストラン大集合

2026.07.14

【グルメ散歩⑫】
前橋・大胡地区
個性派レストラン大集合

 前橋のまちなかから東へ車を走らせると、赤城山南麓ののどかな風景が広がる。大胡地区はゆとりある土地を生かしたビッグスケールな店が点在するエリアだ。中心市街地から少し距離があるからこそ、店は周囲を気にせず、それぞれの世界観を築いている。地域に根付く老舗、新しい感性を持つレストラン、思い思いの空間をつくり上げたカフェ。ここには大胡でしか味わえない個性派レストランがそろっている。
(取材/阿部奈穂子)

新しい大胡の顔

 大胡の新しい魅力を発信しているのが農家レストラン「KIMIDORI」だ。

 ランチは季節ごとに内容が変わるコーススタイル。畑で育てた野菜や地元食材を主役に、その日の一番おいしい食べ方を提案する。なかでも印象的なのが、香ばしく焼き上げる野菜のグリル。甘みや香り、食感を丁寧に引き出し、野菜そのものの力強さを感じさせてくれる。

▲運ばれてくると感動する野菜のグリル

 木のぬくもりに包まれた店内、大きな窓の向こうに広がる畑。料理だけでなく、この土地の豊かさや季節の移ろいまで味わってほしい―。そんな思いが店全体に息づいている。

▲畑の中に建つ「KIMIDORI」

知る人ぞ知る名店

 幹線道路沿いや住宅地には、料理好きが足を運ぶ実力店が隠れている。

 ソウル出身の夫婦が営む「炭火焼肉御苑」。東京・三軒茶屋の焼肉店で修業し、縁あって前橋に店を構えた。ランチでも黒毛和牛を使い、細かなサシの入ったカルビやロースをオガ炭で焼く。一品料理も充実し、焼き肉にとどまらない本場の韓国料理を味わえる。

▲ランチでもこの肉質。おかずもたくさん付く

 楓に囲まれた階段を上ると現れる「L’erable(リラブル)」。高い位置に設けた窓から緑を見渡せ、森の中にいるような完全予約制のフレンチだ。

 会社員を早期退職した大崎正和さんがフランス語と料理を独学で学び、61歳で開いた。前菜からアントレ、メインまで手をかけ、料理には大崎さんの丁寧な解説も付く。

▲前菜とスープ。器にも趣向を凝らす

 本場の刀削麺を看板にするのは「隆橋飯店」。中国出身の店主、朱洪亮さんが、小麦粉の塊を「く」の字形の包丁でリズミカルに削り、鍋へ飛ばしていく。

 麺は厚みが不ぞろいだからこそ、つるりとした部分、もちもちした部分、すいとんのような部分が一度に楽しめる。麻辣、汁なし、台湾、牛肉入りなど16種類をそろえ、本場・山西省の食文化を大胡で伝えている。

▲こんな麺、見たことないでしょう

地元で愛される実力店

 気取らず通えて、何度食べても飽きない。家族連れから常連客まで、幅広い世代の胃袋をつかんできた店もある。

 前橋中心街の名店「紅蘭本店」で長く腕を磨いた店主が独立して33年。「中国レストラン天竺」では、その流れをくむチャンポンを今も味わえる。週末も注文できる12種類のランチセットは、ミニラーメンまで抜かりがない。澄んだ醤油スープに、味の染みた大きなチャーシュー。具だくさんの中華丼やパラパラのチャーハンも、火入れと味付けの確かさが光る。

▲天竺のチャーハンセット、ミニラーメン付き

 山のように盛られた手打ちそばが目を引く「そば蔵」。豪快な見た目とは対照的に、そばはのど越しがよく、上品な味わいだ。

 「BISTROらくだ屋」は沖縄料理を軸にホッキカレーや富士宮焼きそばまで、全国の名物を集めた大人の遊び場のような一軒だ。家族連れから宴会まで幅広く利用され、店内はいつもにぎわっている。

▲「そば蔵」のもりそばとかきあげ

▲オリオンビールとともに沖縄料理を味わえる「BISTROらくだ屋」

のんびり過ごす個性派カフェ

 大胡エリアのもう一つの魅力はカフェが充実していること。

 県道沿いに現れる真っ白な塗り壁とテラコッタの屋根。「ファーロブロンコカフェ」は、住宅メーカーがモデルハウスを兼ねて営む店だ。2階まで吹き抜けた開放的な空間で、ガパオライスや手作り生地のパニーノを味わえる。おしゃれな空間を満喫できるだけでなく、何を食べても美味しい優秀カフェ。

▲ジューシーなガパオライス

▲地中海を思わせる空間

 「カフェのファミレス」と呼びたくなるほど、メニュー豊富なのが「カフェ&ダイニング ココロモ」。オムライス、ドリア、ピザ、パスタ、ご飯物が勢ぞろい。店内は小上がりと庭があり、親子連れにも居心地がいい。

▲緑の庭のあるカフェです

 細い路地の先で見つけた「杏の穂」はまさに隠れ家。クラシックが流れるオリエンタルな店内で手作りのパスタやピザ、ハンバーグを提供する。名物のナポリタンは100%オーガニックの有機トマトケチャップをベースにした真っ赤なソースへ麺を浮かべた個性派だ。

▲「杏の穂」のナポリタン

 食事をして、お茶を飲み、庭や店内を眺めながら、半日くらい過ごしたくなる。実力派のレストランだけでなく、こんな時間の流れるカフェまでそろうところに、大胡というエリアの懐の深さがある。

※価格や営業時間などのデータは取材当時のもの。変更の可能性あり。