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【行こうリーディングシアター】 詩はいかに生まれるか
中村ひろみさんに聞く「『月に吠える』を声で立ち上がらせる」
2022.11.17
前橋文学館のリーディングシアターフェス第5弾「『月に吠える』を声で立ち上がらせる」(脚本/浅見恵子・栗原飛宇馬)が、11月27日(日)に上演される。プロデューサーは演劇プロデュース「とろんぷ・るいゆ」主宰の中村ひろみさん。2017年、朔太郎忌でのはじめてのリーディングシアターとなった本作を「光景旅団」代表の小出和彦さん(前橋市在住)が潤色・演出する。中村さんに今回の見どころを聞いた。
120年後の前橋に響く「月に吠える」
萩原朔太郎が後の詩壇に大きな影響を与えた第一詩集「月に吠える」。「『月に吠える』を声で立ち上がらせる」は、第45回朔太郎忌(於:前橋テルサ)で初演され、その好評を受けて8月に前橋文学館でも再演された。現代の高校生が「月に吠える」の研究発表に向けて、詩集成立の背景を学びながら、高校生自身の置かれた状況について語る。
「もともと2017年の詩集刊行百年を記念した作品で、『月に吠える』や萩原朔太郎の魅力を親しみやすく伝えています。あらためての上演に向けて、2022年にふさわしい作品とするため、劇作家兼演出家でありながら、常に演劇表現の拡張を考え続ける小出和彦さんに演出をお願いしました」と中村さん。
小出さんは潤色にあたり、今から120年後の戦時下の前橋で、朽ちかけた劇場に集まった役者が「『月に吠える』を声で立ち上がらせる」の稽古をしている設定にした。
実際の稽古では、ただ脚本を読むだけでなく、身体の使い方や詩の読み方など、普段はやらない方法にチャレンジ。その理由を小出さんは「リーディングシアターが、声による物語表現に集約されるだけでは物足りない。セリフを語れば俳優の身体は動きたくなる。それと同じように詩は詩人の身体からどのように生まれたのか、詩の読み方を変えることで探っていきたい」と語っている。
詩集「月に吠える」は先駆的であるがゆえ、萩原朔太郎の苦しみの中から生まれた。
「2017年から5年後のいま、世界中の終わらない紛争に加え、私たちはコロナ禍も経験しました。そんな困難を抱える観客に、いろいろな手法で詩を響かせることで、『月に吠える』や朔太郎の魅力をあらためて伝えてくれるリーディングシアターとなると思います」と中村さんは話す。
「『月に吠える』を声で立ち上がらせる」
・開演 11月27日(日)13時、15時(開場は30分前)
・会場 前橋文学館3階ホール
・観覧料 500円(文学館観覧料含む)
・定員 50人
・出演 新井和枝、三輪規子、富井大遥、中村ひろみ
・主催 前橋文学館
・協力 NPO法人波宜亭倶楽部
※次回のリーディングシアターは12月25日(日)、「父―萩原朔太郎(仮題)」(原作:萩原葉子、脚本:生方保光)をお届けする。
問合せ先
前橋文学館
- お問合せはこちら
- 027-235-8011
住所 | 前橋市千代田町三丁目12-10 |
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なかむら・ひろみ
東京都出身。1989年結婚を機に前橋市に移住。92年~演劇プロデュース「とろんぷ・るいゆ」主宰。劇場以外の空間がもつ文化と歴史を踏まえた作品づくりを続ける。2019年上三原田農村歌舞伎舞台初のシェイクスピア劇を上演。15~19年群馬県文化審議会委員、群馬大学非常勤講師、日本演出者協会会員他
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