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「朔太郎の時代が見えてくる」
中村ひろみさんに聞く『夜汽車の人―朔太郎の愛
と詩の生涯』

2023.01.26

「朔太郎の時代が見えてくる」
中村ひろみさんに聞く『夜汽車の人―朔太郎の愛
と詩の生涯』

前橋文学館のリーディングシアターフェス第7弾『夜汽車の人―朔太郎の愛と詩の生涯』が1月 29 日(日)に上演される。プロデューサーは演劇プロデュースとろんぷ・るいゆの中村ひろみさん。「君の名は」で有名な劇作家・菊田一夫の戯曲を原作とした萩原朔太郎の生涯を描くリーディング・シアター、その見どころを聞いた。

いま、前橋でなければ描けない「朔太郎の生涯」

明治・大正期の前橋で、高名な医師を父にもちながら、類まれな才能ゆえ、両親や世間から十分な理解を得られぬまま、口語自由詩を確立した萩原朔太郎の生涯。詩作への情熱と苦悩、そして家族や永遠の思い人、エレナへの愛が描かれている。

原作は劇作家・菊田一夫による 3 時間を超える舞台劇だが、丸山博一氏(東宝現代劇)が約 1 時間の朗読劇に構成し直した作品を 2017 年、前橋文学館でリーディングシアターとして上演。今回、文学館で二度めの上演となる。

▲今回の演出は動きを入れない朗読劇のため、セリフに重点を置いた稽 古がすすむ

朔太郎に特別な思いをもつ菊田が描く「朔太郎の生涯」は若干史実と異なる点もあるが、よりわかりやすくするため、本公演では、物語に添って写真が投影される。

「赤ん坊の朔太郎のほか、彼自身が撮影した明治・大正期の前橋や娘の葉子さん・明子さんの写真を紹介することで、朔太郎の生きた時代がより身近になります」と2度めの演出となる中村さんは語る。朔太郎関連の多くの写真を収蔵する前橋文学館ならではの企画だ。

▲役者はセリフの内容を深め、朔太郎の生涯を言葉で伝える

合わせて、歴史的建造物を研究する「前橋工科大臼井研究室」の協力で、明治・大正期の建物のイラストも投影。

臼井敬太郎先生は「朔太郎の生きた時代は、生糸景気で前橋は活気にあふれ、モダンな建造物が次々と建てられました」と説明。上毛倉庫や水道タンクなどは朔太郎と同時代の建造物でもあり、思いのほか朔太郎は「ハイカラな前橋」で過ごしたことが伝わる。

また、前橋を拠点とするアコーディオン奏者で、多くの朔太郎の詩をもとに作曲も手掛ける Rinn さんが音楽を担当。いま、前橋でしかできない「朔太郎の生涯」を上演する。

▲永遠の思い人エレナと朔太郎の姿が、幻想を交えて描かれている.

『夜汽車の人―朔太郎の愛と詩の生涯』
原作:菊田一夫、構成:丸山博一、演出:中村ひろみ
・開演 1月 29 日(日)13 時、15 時(開場は 30 分前)
・会場 前橋文学館3階ホール
・観覧料 500 円(文学館観覧料含む)
・定員 50 人(要予約)
・主催 前橋文学館
・協力 NPO 法人波宜亭倶楽部

※次回のリーディングシアターは 2023 年2月 26 日(日)、「ラヴ・レターズ」(A.R.ガーニー作、青井陽治翻訳)をお届けする。

なかむら・ひろみ

東京都出身。1989年結婚を機に前橋市に移住。92年~演劇プロデュース「とろんぷ・るいゆ」主宰。劇場以外の空間がもつ文化と歴史を踏まえた作品づくりを続ける。2019年上三原田農村歌舞伎舞台初のシェイクスピア劇を上演。15~19年群馬県文化審議会委員、群馬大学非常勤講師、日本演出者協会会員他