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【行こうリーディングシアター】毎夏、反戦の思いをこめる
中村ひろみさんに聞く『イエスタデイ』
2022.08.24
前橋文学館のリーディングシアターフェス第3弾『イエスタデイ』は8月28日(日)に上演される。長崎原爆を描いた反戦作だ。プロデューサーは演劇プロデュース「とろんぷ・るいゆ」の中村ひろみさん。2016年、第1回目の前橋文学館リーディングシアター『ラヴ・レターズ』で萩原朔美館長と共演以来、群馬県内の演劇人と文学館をつなげてきたキーパーソン。文学館での『イエスタデイ』の上演は6回目となる。
再演するごとに作品の理解を深める
本作は戯曲家・演出家の清水邦夫氏(1936-2021年)が教授を務めていた多摩美術大の卒業公演向けに、長崎の原爆をテーマに書いた作品で、清水氏の遺作とも言われている。
第二次世界大戦下の昭和20年、清水氏の故郷である日本海の「海沿いの町」を舞台に、これまでも彼の作品に頻出する「姉」と「弟」を含む4人きょうだいが登場する。4人は東京から親戚を頼って日本海側に疎開してくる。しかし世の中への批判を口にする、風変わりな彼らは、地元の人々とうまくいかず、別の親せきのいる長崎へ移り住み、音信不通となる。生と死をみつめるヘルマン・ヘッセの詩やロシア演劇の金字塔「三人姉妹」、そしてビートルズの「イエスタデイ」をからめながら、静かに反戦を訴えかける。
多摩美術大で、ともに教鞭をとった萩原朔美館長の肝いりで、2016年から毎夏、前橋文学館でリーディングシアターとして上演してきた。
出演者は毎年、少しずつ入れ替わっているが、今年はさまざまなジャンルの演劇を経験してきた役者を揃えたという。音楽には県内外で活躍する民俗楽器を得意とするインプロバイザー(即興音楽家)を招き、「本番はセリフと音楽がジャズセッションのように影響しあうことを狙いました」と中村さん。
演出はこの作品を手掛けて3回目の荒井正人さん。例年になく、役者の演技指導に力を入れているという。セリフが必ずしも本心ではないこと、遊びのような劇中劇にも役の深刻な心情がひそんでいることなど、役者に緻密な役作りを求め、より深い『イエスタデイ』を描こうとしているそうだ。
「『イエスタデイ』を通して、清水邦夫氏と萩原朔美館長という先人から、平和を語り継ぐことを託された想いです。群馬で、そして前橋でしかできない語り継ぎを続けたい」と中村さんは力を込める。
『イエスタデイ』
・開演 8月28日(日)13時、15時(開場は30分前)
・会場 前橋文学館3階ホール
・観覧料 500円(文学館観覧料)
・定員 50人
・主催 前橋文学館
問合せ先
前橋文学館
- お問合せはこちら
- 027-235-8011
住所 | 前橋市千代田町三丁目12-10 |
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中村ひろみ(なかむら・ひろみ)
東京都出身。1989年結婚を機に前橋市に移住。92年~演劇プロデュース「とろんぷ・るいゆ」主宰。劇場以外の空間がもつ文化と歴史を踏まえた作品づくりを続ける。2019年上三原田農村歌舞伎舞台初のシェイクスピア劇を上演。15~19年群馬県文化審議会委員、群馬大学非常勤講師、日本演出者協会会員他
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