interview
聞きたい
【聞きたい山井太会長4▶︎】赤城山×スノーピーク
突き抜けた魅力 創造しよう
2022.07.28
デジタル社会の中で、ますます求められるアウトドアライフ。手つかずの自然が残る赤城山は大きな可能性を秘めている。首都圏からのアクセスのよさも魅力だ。スノーピークの山井太会長はどんな未来予想図を描いているのだろうか。地元の人たちとはどのように協働するのか。
深い自然体験ができる場所
―赤城山でどんな未来予想図が描けそうですか。
「箱根や熱海も首都圏からすぐですが、温泉に浸かりに行く場所です。癒しを求めに行くには近場で品質のいい温泉でニーズは高い。ただ、こちらは温泉宿あるいは温泉街の中での体験にとどまります。
赤城山は深い自然体験ができる場所です。温泉は日本全国どこでもあるけど、自然体験できるリゾート地はそんなに多くはない。首都圏からみたら、非常にいい立地にあり、多彩な自然体験ができる、恵まれた場所です」
―赤城山での地方創生、どう展開しましょう。
「温泉やスパはわざわざ人が出掛ける理由になるので、コンテンツとして強い。山頂のどこかにほしいですね。グランピング施設もいいでしょうし、人気ホテルのアネックスもできるかもしれない。
スキーシーズンしか観光客が来なかった白馬にはランドステーションを設けました。そこにアクセスすればどこに行けばいいか分かる。スタバもあり、グリーンシーズンは圧倒的に人を集めています。
赤城山でもこういうのが計画されているはず。トレッキングに行くにも、サイクリングするにも、そこが拠点となるようなステーション=駅が必要です」
―スノーピークの直営店を前橋市内に開き、赤城山への導線とする考えは?
「市街地かもしれないし、あるいは赤城山に作るかもしれない。その方がダイレクトにうちのお客さんを呼び込めるから。これから県当局との話し合いになりますが、キラーコンテンツの一つになる可能性は秘めています」
「主役は赤城山のプレーヤー」
―地元で根を張って頑張ってきた人たちがいます。彼らとはどのように協力、協働しますか。
「赤城山のみなさんとは何回かお会いした。基本的には歓迎してもらっていると感じています。我々の地方創生はオーダーメイドで、地域のみなさんと一緒になって作り上げる手法。主役はあくまで赤城山のプレーヤーであり、お手伝いする立場になります。
これまで頑張ってきたことと我々が提供するリソースで新しい価値、魅力を一緒に作っていきたい」
―これから基本計画を策定して、実際に事業化するには時間がかかりそうです。
「1年後、3年後、5年後と時間軸によってできるものがある。赤城を愛する人、地元、首都圏、全国あるいは世界に向けてコミュニティーづくりに関与することで、もっとよくなるイメージを持っています。
一番意識した方がいいのは突き抜けたものを造ること。平凡なものではなく、他にはない、複合された突き抜け感があればいい。いろいろな地域でいろいろな仕掛けをしている。中途半端なことをやってはだめ。そこが最大の肝かもしれない。赤城山は我々の標準からもっと上を狙ってほしいですね」
やまい・とおる
1959年12月、新潟県三条市生まれ。明治大商学部卒。外資系商社を経て父が創業した登山用品販売のヤマコウに入社する。96年に社長に就任、オートキャンプに力を入れ、地元・燕三条の職人技に裏打ちされたハイエンドで革新的なアウトドアグッズを開発している。2020年3月。還暦を機に社長を娘の梨沙氏とし、自らは会長となった。
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