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【前橋シネマハウス支配人 日沼大樹のシネパラ】vol.7
『ぼくたちの哲学教室』
2023.06.22
ミニシアターの支配人をしていると質問されることNo.1で、映画マニアでは無かった私からすると結構困る質問「一番良かった映画は何ですか?」を、今回は困らずに自分から発信させてもらいたいと思う。それはドキュメンタリー映画『ぼくたちの哲学教室』。現状の2023年で一番良かった、良かったというより感銘を受けた作品だ。6月24日(土)から7月7日(金)まで、前橋シネマハウスで上映となる。
本当の対話を教えてくれる
『ぼくたちの哲学教室』の舞台は北アイルランドの首府ベルファスト。ご存じの人も多いと思うが、ここはかつてカトリックとプロテスタントの衝突により街が分断され紛争による悲劇が市民を襲った場所である。昨年当館で上映した映画『ベルファスト』はその北アイルランド紛争を描いている。そして今でも街には「平和の壁」と称する分離壁が存在する。
そんなベルファストの町にあるホーリークロス小学校が舞台となり、校長先生のケヴィンと子どもたちが私たちに“対話”を教えてくれるはずだ。
ケヴィン校長はスキンヘッドでゴリゴリのマッチョ。トレーニングに余念がなくエルヴィス・プレスリーが大好きな一見怖そうな凄く優しい校長先生。そんな彼は5歳からの小学生たちに哲学の授業を行っている。
ちょうど7歳と5歳の子を持つ自分からすると「正気かケヴィン⁉」と言いたくなるような授業だが実に素晴らしい。観てもらえば必ず納得できるのではないだろうか。
ベルファストは過去の歴史から未だに分断が起きており、二極化する政治的な思想も、親の影響を受けて子どもたちに伝染しているようだ。
「やられたらやり返す」「目には目を歯には歯を」という言葉は日本人なら喧嘩ですむかもしれないが、現地では本当の分断と紛争に繋がりかねない。ケヴィンはそんな子どもたちに哲学の授業で“対話”を通して、否定をしない、人の意見を聞く、自分で考えることの重要性を5歳から教えている。
そんな子どもたちは大人とは比べられないくらい発想力豊かで、時には過去の著名な哲学者の考えを超えてしまうことも。鑑賞後はきっと対話の重要性を再認識し映画の話をしたくてたまらなくなるはず。
人を否定せず、人の意見を聞き、対話ができる、そんな人間になりたいものだ。
『ぼくたちの哲学教室』
出演:ケヴィン・マカリーヴィーとホーリークロス男子小学校のこどもたち
時間:102分
日時:6/24(土)~6/30(金)①14:00~ ②18:30~
7/ 1(土)~7/ 7(金)①10:30~ ②14:00~
会場:前橋シネマハウス(前橋市千代田町5-1-16)
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