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【前橋シネマハウス支配人 日沼大樹のシネパラ】vol.6
『世界は僕らに気づかない』

2023.03.02

【前橋シネマハウス支配人 日沼大樹のシネパラ】vol.6 
『世界は僕らに気づかない』

前橋出身の飯塚花笑監督の長編全国公開2作目である「世界は僕らに気づかない」。3月11日(土)から24日(金)まで、前橋シネマハウスで上映される。飯塚監督の作品は昨年同時期に上映した「フタリノセカイ」に続いての上映となる。

LGBTQを考え、共感し、感動する

「フタリノセカイ」はトランスジェンダーとシスジェンダーのカップルがたどる10年間を描いたラブストーリーで、人の汚い、美しいそれぞれの部分を通して「人とは。性とは」を改めて考えるきっかけを与えてくれた。お客様からも非常に好評で本当に素晴らしい作品であった。

監督は自身がトランスジェンダーであることを公表し自らの経験をもとにした処女作「僕らの未来」で、ぴあフィルムフェスティバルにて審査員特別賞を受賞。さらに若くして海外でも非常に高い評価を受けるなど群馬県を代表する映画監督になりつつある。

今回ご紹介したい「世界は僕らに気づかない」は前作「フタリノセカイ」に続いて飯塚花笑ワールド全開である!重いテーマではあるが、ただ監督の想いを伝えるだけの社会性映画ではない。観る人が楽しんで、考えて、共感して、感動する素晴らしい作品になっている。必ず観て良かったと思ってもらえるのではないだろうか。

(C)「世界は僕らに気づかない」製作委員会

群馬県太田市で暮らす純悟はフィリピンパブで働く母親と二人暮らしをしている。彼は日本で育ちながらもフィリピン国籍だということ、男性として生まれながらも性対象も男性であるゲイであるということ、そして母親が再婚し見ず知らずの男性と一緒に暮らすことになるかもしれない境遇の中で生きづらさ、葛藤、不安を抱えている。本作は、日本のどこにいてもそんな問題を抱える人たちがごく自然にいることを伝えてくれる。大げさにではなく当たり前に存在することなのだと。

恵まれた暮らしをする我々日本人、シスジェンダーである人は、彼らからすると「世界は僕らに気づかない」のだ。いや気づかないふりをしているのだ「自分には関係ない」「自己責任」「差別ではない区別」そんな寂しい正論ぶった凶器という言葉を持って同じ人間を苦しめる。なぜこの世に生を受け、自分の持って生れたもので差別されなければいけないのか。苦しまなければいけないのか。

(C)「世界は僕らに気づかない」製作委員会

純悟のようにLGBTQに悩み、国籍の違いに悩む人たちの権利を主張するニュースのコメント欄で100%見かける文言がある。

「権利を主張するのは自由だが、こちらにも認めない権利がある」…なんてつまらなく寂しいコメントなのだろう。なぜ否定しかできない。その人が認めてほしい当たり前の権利を認めて何か不都合があるのだろうか。認めないことで何かメリットがあるのだろうか。

毎回同じコメントを多数目にし、怒りと虚無感に襲われる。今回は実際の当事者である飯塚監督とセクシャルマイノリティの支援団体ハレルワの間々田代表にもご登壇いただき、今の社会が抱える闇を聞いてみたい。やっと表に出てきた性について多くの人に考えてほしい。そしていつまで経っても進まないこの国の性に対する制度に関しても教えていただきたいと思う。

▲前橋市出身の飯塚花笑監督

『世界は僕らに気づかない』
監督:飯塚花笑
出演:塚家一希 ガウ 篠原雅史
時間:112分
日時:3/11(土)~3/17(金)①14:10~ ②19:00~
3/18(土)~3/24(金)①12:00~ ②16:30~
会場:前橋シネマハウス
※3/11(土)14:10~上映終了後 飯塚花笑監督、セクシャルマイノリティ支援団体「ハレルワ」間々田代表のトークイベントが行われる。

日沼大樹

1986年、前橋市生まれ。東京農大二高―関東学院大卒。2016年、群馬共同映画社へ入社。2018年~、前橋シネマハウス支配人。2児の父。