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【昭和高校球児物語-前高 完全試合のキセキ-▶59】
総集編・高校1年春
2023.05.13
バンカラが幅を利かした時代
昭和高校球児物語は完全ナインの高校3年春まで話が進みました。残すは高校3年、最後の夏です。
ここで、「MAEBASHI」のユニホームに憧れ、伝統の野球部の門をくぐった高校1年春から順に名場面、迷場面を振り返ってみます。
彼らが入学した1976(昭和51)年から卒業するまで、校舎は前橋駅の南、天川原にありました。
随分とおおらかな時代でした。マエタカ数え歌という時代を感じさせる歌謡があり、その2番に、「ふたつとせ、二子山からけむ(煙)がでて、今日もエンダ(煙草の隠語と遠くの田んぼ、遠田の掛詞)で日が暮れる、そいつあ剛毅だね、そいつあね~」とあった。近所の二子山で隠れて煙草を吸う輩もいました。校舎の屋上も喫煙所でしたが。まあ、粋がっていただけでしょう。
「大日本国防軍」なる暴走族のリーダーもいた応援団による恐怖の応援指導の洗練、前橋女子高校の授業に侵入した先輩の武勇伝など、話題に事欠くことなく中学時代とはまったく違う自由な気風がありました。
一般の生徒は学生服を着ることはあまりなく、ジーンズにサンダル履きが一般的。サンダルは屋内外共通でした。「授業カット」という裏技があり、5時間目、6時間目がなくなると、妖しい匂いのした街中に繰り出しました。
しかし、野球部となるとそうはいきません。スポーツ刈りに制服、学帽の着用は厳しくしつけられていました。当時、凄みのある中学だった前橋四中出身の相澤雄司、前橋三中の茂木慎司は幅広のボンタンに皮のローファーだったそうです。
もちろん、それまで中学生だった1年生にとって練習は厳しく、終了後はへろへろ。正門前の焼きそば屋で夕食前の“前菜”をいただきました。
入学してすぐに県大会優勝
肝心のチームはといえば、黄金時代の幕開けのようでした。2学年上、3年生主体のチームは下手投げのエース、石山佳治、勝負強い主砲、外池悟を中心にしたバランスの取れた好チーム。順調に県大会を勝ち進みました。
準々決勝で宿敵、高崎高、準決勝で富岡高を破り、勢いに乗った決勝は関東学園高に競り勝ち、22年ぶりの県王者となりました。
1年生にとって、いつも一緒に練習をしている上級生が県大会優勝を果たしたことで、大いに勇気づけられたようです。後に主将となる川北茂樹はスコアラーとしてベンチ入りしました。
2年後のセンバツ甲子園出場、史上初の完全試合の快挙の第1歩だったかもしれません。
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