interview

聞きたい

【小原玲の伝言5▶︎】
かわいい写真で地球温暖化に警鐘

2022.03.10

【小原玲の伝言5▶︎】
かわいい写真で地球温暖化に警鐘

友達にカメラを向けるのが大好き。写真の原点だった。報道写真家となり、ファインダー越しに多くの死を見てきた。写真が嫌いになったとき、アザラシの赤ちゃんに出会った。動物写真家として生まれ変わった。2021年11月。モモンガを撮るために出掛けた網走で倒れた。小原玲は最期まで写真家だった。

―報道写真はまさに命懸けだったでしょうが、動物写真も撮影は厳しいでしょう。

「アザラシの撮影は酷寒の中、マイナス何十度の世界です。流氷が割れ、海に落ちたこともある。命懸けであることは同じ。でも、好きなものを追いかけるのは苦ではない。野生動物だから、待つ時間が長いけど、その辺はフライデーで鍛えられたかな(笑)」

―アザラシを撮り続け、地球環境の異変にいち早く気付くことになった。

「98年ごろです。流氷が少なくなり、早く溶け出してしまった。最初はエルニーニョか何かの一時的な影響かと思っていたけど、そうではなかった。毎年、確実に段階的に流氷が減っていく。流氷は泳ぎを覚えるまでのアザラシの赤ちゃんの『ゆりかご』。たくさんの赤ちゃんが溺れ死ぬようになった」

―温暖化の被害の最前線にいるアザラシの赤ちゃんの危機を写真で世に訴えている。

「人間社会のごたごたを撮りたくなくて動物写真家になったのに、温暖化を警鐘する伝道師の役目が回ってきてしまったのは皮肉なことだ。でも、講演では『環境を大事にしよう』とか『自然を守ろう』なんて言葉ではいわない。写真で語ります」

―愛くるしい写真ばかりですね。報道写真であれば残酷かもしれないが溺れ行く姿が求められる。

「地球環境だけでなく、里山とか、身近な環境も危機にある。僕の写真に感動してもらい、どうやって次の世代にこの子たちを残せるか考えてほしい」

 ―国内ではホタルやシマエナガ、モモンガにシャッターを向ける。

「心を撃つ写真は悲劇の中に希望を見いだせる写真。かわいい写真を見て感動する気持ちは100%の理屈より強い。だから、みな『かわいい』写真にしている」

ホタル
シマエナガ
アザラシ

小原玲(おはら・れい)1961年2月

東京都生まれ。前橋高-茨城大人文学部卒。フライデーの専属カメラマンからフリーになり、報道写真家として活躍する。動物写真家に転じ、アザラシの赤ちゃんなどの写真集を多数出版。2021年11月、死去。享年60歳。