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聞きたい

【聞きたい映画監督 清水崇×俳優 手島実優4▶︎】
目標の女優はいません ホラーの沼から早く出たい

2022.05.13

【聞きたい映画監督 清水崇×俳優 手島実優4▶︎】
目標の女優はいません ホラーの沼から早く出たい

「呪怨」シリーズで知られる「ホラー映画の巨匠」清水崇監督。恋愛映画に立て続けに出演し存在感を発揮している俳優、手島実優さん。隣町出身の2人は共通点を持ち、互いにリスペクトする。対談の最後に「me bu ku」編集室がお願いしたオファーは何か―。

怖がりだから怖い映画を

―「呪怨」の後もホラーのヒット作を連発しました。すごいパワーです。

清水 「犬鳴村」を撮った際、プロデューサーとは「ヒットしたらコメディーをやらせてもらう」と約束していたのね。けど、想定以上にヒットしちゃって。「こうなったらシリーズ化しないと…」と「樹海村」「牛首村」と結局、三部作に。商業映画のエンタメに身を置く限りは、サガですね…(苦笑)。

僕はこうして、20年以上、ホラーの沼にずっぽりはまっています。

手島 怖がりだから、怖い映画を作れるのかもしれませんね。いいアイデアが浮かんでくるみたいな。

清水 実際、そう。オカルト番組とか観た夜は怖くて、なかなか眠れない子供だったのに。布団をかぶってるけど、幽霊って壁などすり抜けるなら、布団にも入ってくるのでは…なんて考えて。そんな、子供のころの怖い妄想は作品に使っています。

―次回作の構想はありますか。

清水 はい、またですが、「村」シリーズとは違う、ホラーの新シリーズを手掛けます。本を書いているところで、4月には撮影を始めます。公開は来年になるでしょう。内容はまだ話せないけど、そうですね、「南」がキーワードとなります。

ここのところ恋愛ものが続いているけど、手島さんは将来どんな俳優さんを目指しているの。

自分から提案できる俳優に

手島 目標の女優さんというのはいません。
 清水 そう言うだろうと思った(笑)。
 手島 「この役だったらぜひ手島にやらせたい」「手島に任せたい」。そういうオファーがくるような演技ができる俳優になりたいですね。自分から「こんなキャラクターはどうですか」と提案するようにできたらいいですね。

いまは一般の方でもユーチューバ―になったりしてSNSで世界中に発信でき、世の中に影響を与えられることができるようになっていますよね。それも素晴らしいことだと思うのですが、せっかく俳優という仕事をさせていただいているので、俳優という役割に付随した力で、影響力のある人になりたいです。
 清水 手島さんはちゃんと自分というものを持っているし、毎回役どころを捉えている。最初に観た作品は主人公の取り巻きの役だった。脇の人物なのに、ちゃんとどういう子か見えてくるのが凄いと思った。下手すると主役を食っちゃうくらい存在感があった。時と場合によっては、主役が下手でも、脇を固める人が手堅いと引き立てられることがありますからね。
 手島 うわー、うれしい。ありがとうございます。期待に応えられるように頑張ります。監督はどんな作品を撮りたいですか。
 清水 はい、早く「呪怨」の呪縛から逃れたいね。代表作であり、名刺のようだけど、自分にとって一番のライバルにもなっちゃってる。次の代表作を作りたい。
ホラー以外の代表作も作って見せつけてやりたい。親からも「ご近所にお勧めできるものを作って」なんて言われ続けてますから(笑)。

コメディーやダークファンタジー系をやってみたいと思っています。自分で作った絵本を使ってね。
 手島 清水監督がコメディーや恋愛ものを撮ったら、どんな作品になるのかな。楽しみにしています。

しみず・たかし

1972年7月、前橋市生まれ。若宮小―第四中-中央高-近畿大演劇専攻中退。99年、Vシネマ「呪怨」が話題に。劇場版を経て、2004年、ハリウッドリメイク版が日本人初の全米1位。近作に「ホムンクルス」や「犬鳴村」、「樹海村」、「牛首村」の村シリーズ3部作などがある。

てしま・みゆう

1997 年 10 ⽉、前橋市⽣まれ。勢多農⾼卒。⾼校時代に伊勢崎市を舞台にしたまち映画「グリモン」で映画デビュー。2022 年は前橋市出⾝の飯塚花笑監督の「フタリノセカイ」をはじめ、「猫は逃げた」、「階段の先には踊り場がある」で主要キャストを務めた。