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【聞きたい映画監督 清水崇×俳優 手島実優1▶︎】
初めて会ったオーディション バチバチした空気に

2022.05.09

【聞きたい映画監督 清水崇×俳優 手島実優1▶︎】
初めて会ったオーディション バチバチした空気に

「呪怨」シリーズで知られる「ホラー映画の巨匠」清水崇監督。恋愛映画に立て続けに出演し存在感を発揮している俳優、手島実優さん。隣町出身の2人は共通点を持ち、互いにリスペクトする。対談の最後に「me bu ku」編集室がお願いしたオファーは何か―。

Koki主演で最新ホラー

 ―清水監督、最新作の「牛首村」、すごく話題になりました。Kokiさんが主演され、それも一人二役でしたね。

清水 芝居経験がない人を主演にするのは初めてで正直不安もあったけど、普通の18歳では持ちえない強いポテンシャルを持っていた。これは作品や自分にとっても新しい挑戦ができるなと感じました。

手島 お父さん(木村拓哉さん)もご覧になりました?

清水 実は公開前に観てもらいました。感想? それは内緒。ただ、お姉さんのCocomiさんが田中直樹さん演じる父親役との普通の食事シーンを「Koki、家にいる時と一緒じゃん」と言ってくれたのはうれしかったですね。ホラーの場面じゃないシーンですが、自然さが出ているんだなと分かって。

村シリーズは血筋の話でもあるんだけど、Koki自身も両親とも著名人という血筋を持ち、やっかみやプレッシャーもあるだろうけど、そういうのを踏まえつつ乗り越えて真っ向から取り組んでくれたのも、監督としてうれしかったかな。

手島さんは最近、立て続けに主要キャストで映画に出演しているね。

恋愛する役で主要キャスト

手島 3月に「猫は逃げた」と「階段の先には踊り場がある」が公開されました。どっちも恋愛をする役ですが、実は初めてで、すごくうれしかったんです。自分の人以外の人を優先して考えたり、もしくは傷つけてしまったり。俳優として表現のやり甲斐があります。

清水 人間性をさらけ出す役はやり甲斐もあるだろうけど、大変だよね。心身ともに疲れるだろうし。

手島 「猫」は不倫をしている週刊誌記者役です。もちろん、不倫はよくないことではありますが、脚本を読んで、ただのやばい女ではなく、どう魅力的に演技できるか、すごく興味を持ったし、オーディションも自信がありました。私、本当にやりたい役は結構いい打率で受かるんです(笑)。

でも、撮影中はずっと彼のことを考えるので、片思い疲れしました。一生分の片思いをしました。

清水 手島さんは物腰柔らかそうで、ふにゃと可愛らしい印象だけど、実は相当強いよね。

2年前かな、最初に会ったのは。オーディションを受けに来てくれた時で、すごく印象に残っている。数人の組み合わせで自由に演じてもらったら、可愛く媚びる感じの芝居をして…。そしたら、相手役だった子が癇に障ったのか、手島さんの芝居を受けてくれない。

それでも、無視されても止めない。強気でいいなと。

手島 その子の方が強気でしたよ(笑)。

清水 いや、あの子は手島さんのことを、演じている通りの媚びたキャラだと思ったんだろう。強気というより、芝居自体を受け止めようとしていなかったし。実は手島さんのことは前から知っていた。作品も観ていたし、何かの記事で同郷なのも知ってはいたんですね。オーディションの時も「君のことは知っているよ」と声を掛けた。そうしたら、他の子たちの空気がバチバチし始めて。面白かったな、あのとき。

手島 その言葉で上手く演技できなかったんですよ(笑)。私からすると、ようやく清水監督のオーディションに出られたと喜んでいましたから。清水監督のように大御所監督の映画だと、だいたい、書類で落とされちゃうんですよ。あぁ、ここまでくることができたと感激していたのに。

清水 ごめん、俺が邪魔しちゃったね。別に評価が低かったわけじゃないんだ。あのオーディションの時の役をさせるのはもったいない、違うな。手島さんとは別のチャンスがあるはずだと思えて。だからオーディション後、タイミング見て声かけようと思っていたんだけど、気付いたらもう帰っちゃってて。

それで、昨年3月、総合監修を務めたオリジナルホラードラマ「スマホラー」の短編に主演してもらった。

手島 光栄でした。監督とは地元トークで盛り上がりましたね。

しみず・たかし

19727月、前橋市生まれ。若宮小―第四中-中央高-近畿大演劇専攻中退。99年、Vシネマ「呪怨」が話題に。劇場版を経て、2004年、ハリウッドリメイク版が日本人初の全米1位。近作に「ホムンクルス」や「犬鳴村」、「樹海村」、「牛首村」の村シリーズ3部作などがある。

てしま・みゆう

1997 10 ⽉、前橋市⽣まれ。勢多農⾼卒。⾼校時代に伊勢崎市を舞台にしたまち映画「グリモン」で映画デビュー。2022 年は前橋市出⾝の飯塚花笑監督の「フタリノセカイ」をはじめ、「猫は逃げた」、「階段の先には踊り場がある」で主要キャストを務めた。

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