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聞きたい

【聞きたい映画監督 清水崇×俳優 手島実優5▶︎】
前橋のご当地映画「MEBUKU」 ホラーでなく、妄想膨らませて

2022.05.14

【聞きたい映画監督 清水崇×俳優 手島実優5▶︎】
前橋のご当地映画「MEBUKU」 ホラーでなく、妄想膨らませて

「呪怨」シリーズで知られる「ホラー映画の巨匠」清水崇監督。恋愛映画に立て続けに出演し存在感を発揮している俳優、手島実優さん。隣町出身の2人は共通点を持ち、互いにリスペクトする。対談の最後に「me bu ku」編集室がお願いしたオファーは何か―。

オムニバス映画は製作

―清水監督はホラー以外でも、ロックバンド「ザ・ブルーハーツ」の楽曲をテーマにしたオムニバス映画「ブルーハーツが聴こえる」を手掛けましたね。前橋が舞台でした。

清水 6人の監督が参加したんだけど、各自がブルーハーツの歌から一曲を選んで脚本にして。僕は「少年の詩」って楽曲が好きで選びました。「大人にほめられるようなバカにはなりたくない」という歌詞に高校生の頃から共感していてね。いまでも…かな。優香さんに主演をお願いしました。

たまたま母校の若宮小で講演する機会が重なって、ダメ元で撮影の許可をお願いしたんです。ロケは全部、前橋です。幼少期からの前橋の想い出の地を思い浮かべながら80年代後半を設定にした脚本を書いた。

先生が作ってくれた竹とんぼとか、当時のパッケージの空き缶が映画の中に出てくるんだけど、あれ、全部、僕の私物。ロケ場所の風景が変わっちゃってても、あの時代の空気感を出したかったのね。

企画の言い出しっぺのプロデューサー(大人たち)が全員逃げ出してしまって、完成後、お蔵入りになりかけ、奇しくも「大人にはめられるようなバカにはなりたくない」な状況に追いやられました。結局、クラウドファンディングで資金を調達して公開が2年遅れたけど、地元で観てもらえてうれしかったな。

にぎわう街 うれしいね

手島 私は前橋と東京を拠点にしています。馬場川通りに白井屋ホテルというアートなホテルができ、ブルーボトルコーヒーも地方で初めてできました。結構、若い子も来てにぎわっています。

そうそう、高校時代、フラワーデザインコースにいまして、馬場川の花壇とプランターを管理していました。授業の一環なんです。学校の授業は好きじゃなかったけど、この作業は好きだった。花を飾ることで、馬場川がおしゃれな感じになって。

実は私、高校2年生のときに、高校生対象の全国コンクールで金賞・農林水産大臣賞をいただき、日本一になったことがあります。

清水 それはすごい。中央通りにも行列のできるイタリアンの店とかお菓子屋さんができたと聞きましたよ。前橋の街がにぎわうのはうれしいね。

自分は前橋というと、「たむらや」の味噌漬けか、「登利平」の弁当かな。登利平の弁当は配達可能なロケ地では必ず制作スタッフに頼みます。オーソドックスな「竹」が好きで。毎回スタッフにも好評ですよ。これぞ、群馬の名物って感じ。実家に帰った時も欠かさず食べます。

手島 私も「竹」押しですね。外食でも一番好き。家族からは「これでいいんかい」って聞かれますけど(笑)。

高校時代は友達と中央通りの「モモヤ」さんにもよく行き、ビッグパフェを頼みました。インスタ映えしますから。もちろん、完食しましたよ。

清水 それと、「さとり」の味噌煮込みうどん。最後はおじやにして。あー、食べたくなったな。

―監督、せっかく、前橋が芽吹いてきたのですから、「ME BU KU」というタイトルで映画を作りませんか。

清水 すごく直な提案ですね、タイトルも(笑)。ホラー映画の場合、ロケ地から歓迎されないことも多いので、ホラーじゃないのがいいんだろな。

小、中学の同級生が住職をしている青柳大師龍蔵寺を舞台に…とか?勝手な妄想ばかり(苦笑)。

もちろん、手島さんも出演してね。

手島 はい、喜んで。きょうは、ありがとうございました。

しみず・たかし

19727月、前橋市生まれ。若宮小―第四中-中央高-近畿大演劇専攻中退。99年、Vシネマ「呪怨」が話題に。劇場版を経て、2004年、ハリウッドリメイク版が日本人初の全米1位。近作に「ホムンクルス」や「犬鳴村」、「樹海村」、「牛首村」の村シリーズ3部作などがある。

てしま・みゆう

1997 10 ⽉、前橋市⽣まれ。勢多農⾼卒。⾼校時代に伊勢崎市を舞台にしたまち映画「グリモン」で映画デビュー。2022 年は前橋市出⾝の飯塚花笑監督の「フタリノセカイ」をはじめ、「猫は逃げた」、「階段の先には踊り場がある」で主要キャストを務めた。