吉井魚店
創業108年、98歳が現役

冷蔵ショーケースに見るからに新鮮そうな刺身がずらり並んでいます。カツオの土佐造り、赤エビにヒラメ。マグロは真っ赤で美味しそう。刺身もあるけど柵の方が鮮やかだな。家で切るか…。

「バチマグロ、お切りしましょうか」。迷っていたら声を掛けられました。白衣を着た2代目の吉井潔さんです。「切りたての方が美味しいですから」と柵を手にして調理場に向かいました。

ピンと背筋を伸ばし、慣れた手さばきで刺し身包丁を引きます。角が立った刺身。これはすごい。

刺身のほかにも切り身や惣菜が豊富にあります。アユの塩焼きは売り切れとか。残念。気を取り直して、刺身を次々に買い込みました。

他にお客さんがいなかったので、吉井さんとちょっとおしゃべりしました。歳を尋ねると、「大正14年生まれの98歳」と驚きの答え。「耳が少し遠くなりました」と言うものの、至ってお達者。３代目の店主、潤一さんを支え、調理場に立っています。

元気の秘訣は「食べ物に感謝し何でも美味しく食べること」ときっぱり。では、長老にあやかって、美味しく夕げをいただきましょう。

マグロはやはり旨い。身がしっかりして味が濃厚。ヅケにしてもいいですね。お薦めの中トロたたきは脂が乗って絶品。これで300円とは。

ヤリイカそうめんは名前通りの極細切り。アジのたたきはショウガの千切りが入り、夏にぴったりなさわやかさ。ツブ貝は半分をバター醤油で炒めたら、最高の酒のアテになりました。

開店して108年と歴史ある魚屋さん。ご近所の人がうらやましい。