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【萩原朔美の前橋航海日誌vol.19】
「クリストが来た!」
2023.01.03

見かけた時はびっくりした。クリストとジャンヌがいつのまにか前橋でプロジェクトを計画して、いつのまにか資金調達して実行したのかと思った。
2021年に16日間、パリの凱旋門が梱包されたのは、クリストが84歳で亡くなった後だ。前橋に梱包作品が出現しても不思議はない。それくらい、梱包が絵になっていた。形状が工事のためという目的を離れて、インスタレーションの作品に思えてくる。そこが面白さの原因だ。本来の目的が隠されて、別の目的が付与されていたのだ。
工事のための囲いもやがては撤去される。クリストの梱包も短期間で撤去されてしまう。その儚さがなんとも愛しい。目を惹かれるものは、みんなどこかに儚さが潜んでいるのだろう。
Sakumi Hagiwara





萩原朔美(はぎわら・さくみ)
1946年11月、東京都生まれ。寺山修司が主宰した「天井桟敷」の旗揚げ公演で初舞台を踏む。俳優の傍ら、演出を担当し映像制作も始める。版画や写真、雑誌編集とマルチに才能を発揮する。昨年、世田谷美術館に版画、オブジェ、写真のすべてが収蔵された。著書多数。現在、多摩美術大学名誉教授。2016年4月から前橋文学館館長。2022年4月から、金沢美術工芸大客員教授、アーツ前橋アドバイザー。
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