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学びたい
落ち葉も生ごみも「ごみ」にしない
カンタンたい肥づくり
2023.12.13
落ち葉が舞い散る季節になった。しかし、落ち葉の処理は大変だ。ただ捨てるのではなく、家庭から出る生ごみと合わせて、たい肥を作ってはいかがだろう。群馬県環境アドバイザーで、前橋市在住の井上金治さんが勧めるたい肥作り教室に参加した。身の回りのものでカンタンにできて、落ち葉も生ごみも大量処理でき、虫の発生にも悩まないといいことづくめだ。(取材/江原由利子リポーター)
子どももできる
「落ち葉や生ごみを見ると『宝物があった』って思うんですよ」と群馬県環境アドバイザーの井上さん。
医学博士の井上さんは、市内で「いきものたちの庭・ガーデンクラブ」を主宰し、自然エネルギーを使ったガーデンの運営や子どもを対象とした環境教室の開催を続けている。
この日、子どもを含めた23人が集まり、落ち葉と生ごみからたい肥をつくる2つの方法を教えてもらった。
【初級編】落ち葉たい肥のつくり方
落ち葉を集めて水をかけ、ただ踏むだけでできる落ち葉たい肥。だれでも手軽に挑戦できる。
【用意する物】落ち葉、植木鉢(大き目のもの、今回は直径40㌢、高さ35㌢のものを使用)、水
【作り方】
①落ち葉を集める
今回、井上さんが集めた落ち葉は、45㍑のごみ袋約9つ分。落ち葉の種類は、クヌギ、コナラ、ツバキ、ササなどさまざまだ。繊維がタテに走っているササの葉は、少々扱いづらいが、ほかの葉っぱと混ぜれば気にならないので、種類にこだわらずどんどん集めよう。
②踏み固める
落ち葉を植木鉢の中に入れ、ジョウロで適量の水をかけたらしっかり踏み固める。
③繰り返す。
落ち葉を入れる → 水をかける → 踏み固める をひたすら繰り返す。
「1つの鉢に3袋くらいの落ち葉が入りますよ」と井上さん。周りからは「えー、無理でしょう」という声があがるが、落ち葉を入れる→踏むを繰り返していると、あれ? もしかしたら入るかも…。およそ10分後。全部、入りました。
④布をかける
麻布など、雨水が染みこむような布をかけてあとは放置。ときどき、天地を返すようにかき混ぜると発酵が早まるが、そのままでもいいそう。
1年たつと良いたい肥ができあがる。
【中級編】段ボールコンポストのつくり方
ミカン箱ぐらいの大きさの段ボールを使ってコンポストをつくろう。毎日でる生ごみの処理にも適している。
【用意する物】段ボール2つ(置きたい場所に合うサイズ、ミカン箱くらいが作りやすい)、米ぬか、目の細かい洗濯ネット、野菜くずなどの生ごみ、洗濯ネットを覆う布(麻布や古くなった洋服など)
【作り方】
①洗濯ネットの中に生ごみを入れる。
大きいものや硬いものは分解が進みづらくなるので、小さめにカットするといい。
②米ぬか(または母材)入れて混ぜる。
入れたら、ファスナーを閉め、空気を含ませるようにして混ぜる。母材は、前橋市民なら市役所2階ごみ政策課窓口で受け取ることができるので活用しよう。
③洗濯ネットを麻布などでくるんで段ボールの中に入れる。
フタをするようにもうひとつの段ボールをかぶせる。毎日、生ごみを入れてよい。熱がひけて生ごみのかたちがなくなったらできあがり。途中で虫がわいたら、米ぬかを足してしばらく置いておくと良いそう。
群馬県のごみ排出量は全国9位
市内から参加した加藤たかえさん(74歳)は「虫がわかない方法が分かってよかった。自分で作ったたい肥は、家庭菜園で白菜や大根を育てるのに役立てたい」と話していた。
群馬県のごみ排出量は多い。令和3年度、県民1人が1日に排出するごみの量は968㌘。前年から22㌘減ったものの、全国で9番目の多さという。
前橋市の家庭から排出されたごみは一日924㌘で、その35㌫が生ごみだ。生ごみは水分が多いため燃焼効率が悪く、焼却するためには大量の化石燃料が必要になる。その分、CO2も発生してしまう。生ごみをたい肥化することで、ごみの量を大幅に減らすことができるというわけだ。
「自宅で落ち葉や生ごみをたい肥化させることは、いいことがいっぱい」と井上さん。一例をあげてもらうと
・ゴミ集積場まで持っていく手間が省ける
・化石燃料の節約
・Co2排出を抑制する
・地球温暖化防止につながる
・腐葉土やたい肥を購入する費用を抑えられる
・おいしい野菜や、元気な草花を育てられる
・生き物たちのすみかをつくることができる
井上さんが主宰する「いきものたちの庭・ガーデンクラブ」では、いつでもコンポストの見学可能。連絡は井上さん。
連絡先
いきものたちの庭 ガーデンクラブ (井上さん)
住所 | 前橋市嶺町1810ー2 |
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メールアドレス | kininoue@lagoon.ocn.ne.jp |