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令和に蘇るか「関東の華」前橋城
旧前橋駅舎も一部復元へ

2023.01.01

令和に蘇るか「関東の華」前橋城
旧前橋駅舎も一部復元へ

前橋市の歴史都市づくりが2023(令和5)年から一気に加速する。前橋公園内に前橋城をイメージした建造物を造る計画が始動。本丸や天守閣が候補に挙がっている。JR前橋駅に名駅舎として親しまれた旧前橋駅舎を一部復元する計画も浮上している。

歴史まちづくり法で認定

前橋市の歴史的風致維持向上計画が昨年12月、歴史まちづくり法に基づき国から認定され、建物の補修や景観改善事業に補助金が交付されることになった。

市は「関東の華・生糸のまちの歴史を継承し、官民が連携して前橋の誇りを取り戻す」を基本理念に掲げ、歴史的なものと都市的なものが共存する街並み整備を進める。

中心部の厩橋地区と総社・総社山王地区を重点区域に指定。2023年度から10年間で20事業を展開する。

厩橋地区では①前橋公園における歴史的拠点の創出②大手門の可視化③前橋駅周辺の歴史的景観の向上―に取り組む。

▲歴史まちづくりの将来都市像を表すロゴマーク

「関東の華」3層3階の天守閣

前橋城は徳川家康から「汝に関東の華をとらす」と初代藩主、酒井重忠に賜れたとされる名城。3層3階の天守閣も造営された。本丸は群馬県庁舎として使われたが、1928(昭和3)年、老朽化のため取り壊された。

前橋公園は一部が城内にあったことから、本丸をイメージさせる建造物や天守閣の復元を含め、拠点的施設を整備する。

▲前橋城の本丸御殿。群馬県庁として使われた

前橋城の正面玄関として江戸期初期に造られた大手門は民間再開発事業の際に地中から石垣が見つかった。現在は埋め戻されているが、建築予定の建物敷地内で公開されることになっている。

噴水復活で駅が憩いの場に

旧前橋駅舎は1927(昭和2)年に建設された洋風木造建築。両毛線高架化事業に伴い、1984(昭和59)年に解体された。

完全復元は現実的に不可能だが、一部を復元したり、ロータリーにあった噴水を復活させるなどの案が出ている。噴水ができれば、中心街に続くけやき並木とともに「水と緑と詩のまち」の玄関口にふさわしい景観が期待される。

▲旧前橋駅舎。手前に噴水がある

このほか、富岡製糸場より古い歴史を持つ旧前橋藩営器械製糸場の復元も検討されている。

▲旧前橋藩営器械製糸場の流れを汲む勝山宗三郎製糸場

具体計画は歴史的風致維持向上計画を審議してきた協議会や市民の意見を聞きながら策定する。協議会の手島仁会長は「歴史文化活用委員会を組織し、調査・研究にあたり報告書をまとめた。実現するには法的・財政的な裏付けが必要であり、今回の認定で第2のスタートとなる」と期待を込めた。

▲認定書を手にする山本龍市長と手島氏