interview
聞きたい
【飲食店の仕掛け人③】
酒場から始める街づくり
ソーレ・ジャパン代表 樺澤大輝さん
2026.10.22
「IZAKAYAソーレソーレ」「食堂★酒バ ココソーレ」「炉端ビストロ ソーレマン」などを手掛ける樺澤大樹さん。10 月23日には高崎駅西口に新店舗「旬と酒 ソーレアペックス」を出店する。2011年の独立以来、前橋、高崎で「その街にあったらいい」と思える店を形にしてきた。根底にあるのは「飲食店を通じて街を面白くしたい」という思いだ。酒場から始まった樺澤さんの街づくりをたどった。
(取材/阿部奈穂子)
「また行きたいお店がない」
――金融系の仕事から、25歳で飲食業界へ。きっかけは?
大学卒業後は東京で働いていましたが、結婚を機に群馬へ戻りました。
お客として飲食店を回る中で、「また行きたい」と思える店がないなって感じたんです。まあ、生意気でした(笑)。
だったら自分でやりたいなと。紹介してもらった大胡町の「らくだ屋」に行ったら、料理も雰囲気も当時の群馬にはない感じがあって、すぐに「ここで働きたい」と思いました。
――「らくだ屋」を運営するキャメルカンパニーには11年いたんですね。
店長や専務をやりました。低迷店舗の立て直しや新店舗オープンも何度も経験しました。
結局、大事なのはQSC。料理、サービス、クレンリネス。そこは今も基本ですね。
▲ソーレソーレの店内で。樺澤さん
「東京に行かなくていい店」へ
――2011年、36歳で独立。最初の店が地中海酒場SoleSole(現在のIZAKAYAソーレソーレ)でした。
キャメルカンパニーでもイタリアン系の店をやっていましたし、イタリアやスペインへ行く機会もありました。
最初は洋食系のレストランを考えていたんですけど、お酒を飲みながらワイワイしている空気感の方が好きだった。それで洋食系の居酒屋にしました。
――場所は、天川大島町の線路沿いですね。
1店舗目なので、いい物件の情報が入ってくるわけでもないし、高い家賃も払えない。出ている物件の中から探しました。
もともとファミリーマートだった店舗です。「よくこんなところでうまくいったね」って言われますよ。
▲1号店を出した場所に、現在はIZAKAYAソーレソーレ
――看板メニューは?
バーニャカウダです。当時、この辺ではまだ珍しかったんです。「これ何?」というお客さんも多かったので、食べ方を説明しながら出していました。啓蒙活動みたいなものですよね。
だんだん東京でよく飲み食いする人も来てくれるようになって。「わざわざ東京まで行かなくてもいいね」と言われて嬉しかったです。群馬にないもの、ここにあったらいいと思えるものをやっていこうと思いました。
▲IZAKAYAソーレソーレの秋刀魚のパエリア
日本一を目指して高崎へ
――独立した時から「日本一」を目指していたそうですね。
年に一度、居酒屋日本一を決めるNPO法人「居酒屋甲子園」という団体の理事をやっていて、ソーレソーレを開いた時から日本一を目指していました。
僕の中では、飲食店も街づくりの一つなんです。「群馬にこういう店があったらいいよね」という店をつくって、街をもっと面白くしたいと思っていました。
▲2号店の炉端ビストロソーレマン。高崎駅西口
――2号店として選んだのが、高崎駅西口だった。
そうです。最初の店で人も育ってきて、次に群馬の中でもっと影響力のある場所に出すなら高崎駅西口だと思いました。ずっと物件を探していて、2014年に炉端ビストロ ソーレマンを出しました。
最初は結構苦戦しました。売上もそうだし、お客さんの層も違った。「あいつ、調子に乗って高崎に進出してきた」みたいなことも言われました(笑)。
でも、こっちは日本一を目指していたので、高崎に出すこと自体がすごいなんて1㍉も思ってなかったんです。
▲戻り鰹セビーチェ。ソーレマンの人気メニュー
「居酒屋」ではなく「酒場」
――2019年には前橋のまちなかに食堂★酒場 ココソーレを開きました。酒場というのが肝だとか。
ええ。僕の中では「居酒屋」と「酒場」って違うんですよ。
居酒屋って、個室なんかで料理が出てきて、サービスされる感じがある。
酒場はそうじゃなくて、みんなでワイワイ盛り上がって、気付いたら隣のテーブルの人と友達になっていたみたいな感じ。僕はまちなかに酒場を作りたかったんです。
▲五差路近くにあるココソーレ
――ココソーレはメニューの幅が広いですね。全国各地のおいしいものがあったり。
居酒屋甲子園でできたつながりが活きているんです。国内を旅すると、だいたいその土地に飲食店経営者の仲間がいます。
美味しいものがあれば「これ、どうやって作ってるの?」「どこから仕入れてるの?」って聞く。県外だから、結構みんな教えてくれます。
最近は行かなくてもSNSで聞けますし、逆に「この皿どこで買ったの?」と聞かれたり。そういうやり取りはずっとしていますし、店づくりにも生かしています。
▲ココソーレの赤城牛中落ち
街に必要な店、人を育てる
――10月23日には、高崎に新しい店を出すそうですね。
旭町に「旬と酒 ソーレアペックス」を出します。
最初はココソーレ高崎店にしようと思っていたんです。でも、その街に必要とされるものは何だろうと考えて、少し変えました。
ココソーレに近い酒場ですけど、もう少しアッパーな感じで、日本酒と和食を楽しんでもらう店です。
▲10月23日にオープンするソーレアペックス
――これからも店は増やしていく?
新しい業態を次々つくるというより、今あるものを増やしていく感じです。
ただ、同じものをそのまま持っていくのではなく、その街に何が必要なのかを考える。その時にいる社員の得意なことも生かしたいですね。
――会社は今後、どうしていきたいですか。
「2035年ビジョン」というのを掲げました。2035年に僕が60歳になるので、それまでに経営者を3人つくりたい。
独立して外へ出てもらうんじゃなくて、グループの中に社長を3人つくるんです。
居酒屋部門でも洋食部門でもいいし、デザインが得意ならデザインの会社、マーケティングが得意ならマーケティングの会社でもいい。それぞれの得意なことを伸ばして、社長になれる人を育てたいと思っています。
▲2035年ビジョンを語る樺澤さん
――そして60歳になった時、ご自身は?
引退するつもりはないですけど、もともと街づくりみたいなことをやりたかったので、そっちにもっと力を入れたい。
コミュニティづくりとか、村づくりみたいなことですね。
我が社のミッションは「食で街を輝かせ、人で飲食業界の未来を照らす」。
店をつくるだけじゃなくて、人を育てて、その人たちと街を面白くしていけたらいいですね。
かばさわ・だいき
1975年、前橋市生まれ。七中―県立前橋高―東京経済大卒。大学卒業後、金融系、営業職を経て25歳で飲食業界へ。キャメルカンパニーに約11年間勤務し、店長、専務などを務める。2011年、36歳で独立。現在、IZAKAYAソーレソーレ、炉端ビストロ ソーレマン、食堂★酒バ ココソーレを経営。2026年10月23日、高崎市に「旬と酒 ソーレアペックス」を開店。
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