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聞きたい

【聞きたい香川誠さん4▶︎】いまの奥野の方が声も歌い方も好き 香川誠さんに聞く

2022.05.05

【聞きたい香川誠さん4▶︎】いまの奥野の方が声も歌い方も好き 香川誠さんに聞く

再結成の動きが出た直後、奥野敦士さんは事故で首から下が不随に。それでも、あきらめなかった。2013年、23年ぶりに同じ舞台に4人が立った。

地元の後輩が支えるGBGB

―1990年に解散し、復活したのが2013年。23年間もの空白がありました。
「20年くらい経ったら、何でけんかしたのか忘れてしまった。音楽プロデューサーをしていて、後輩と飲んでいるとき、『ROGUEのライブの後の打ち上げは最高に楽しかった』と言われ、じゃあ、打ち上げやるか。それにはライブやらないとな、という話になって、奥野に『1回でいいからまたやらない』って電話した。『1年後目指してやろう』『また連絡するね』なんてやりとりがあった。
そんな話をした2週間後。事故が起きた。見舞いに行ったら、頭を固定され、ベッドに横たわっていた。嫌いなヤツが弱っているのを見るのはつらくて。嫌いと言えなくなって…」
 ―事故は2008年。奥野さんは首から下が不随になったが、懸命なリハビリで歌えるように。
「地元の後輩たちから『奥野さんのために何かしたい』と相談を持ち掛けられた。何をすればいいか。奥野に聞いたら、『障害者が外に出る足がない』と言うんで、ライブをやってその収益で福祉車両を買おうということになった。GBGBの始まりです。
後輩に全員集合をかけた。返事に「ノー」はない。 「イエス」だけ(笑)。でも、あいつらのおかげでできた。俺の自慢であり、誇りです。
再結成が決まったとき、奥野から『ありがとう』と言われた。びっくりしたね。あいつ、ありがとうって言葉知っていたんだと初めて知った」

みんな泣くから俺は泣かない

―23年ぶりの舞台、どうでしたか。
「あっという間。7曲しかできなかったから。でも、感動的ではあった。奥野は泣くし。お客さんも泣くし。じゃあ、俺は泣かないと決めた。いまも泣いていません。
何千人もが奥野を待っていたんだ。こいつは歌い続ける人間なんだなと改めて思い知らせれた。泣くほど待っていたのか。もっと早く言ってよ(笑)。
奥野の声は昔とはあきらかに違う。力強さは失せた。でも、いまの奥野の方が声も歌い方も僕は好きですよ」

かがわ・まこと 

1963年6月生まれ。南橘中-新島学園高。82年、奥野敦士とともにROGUEを結成、85年、メジャーデビューを果たす。89年、日本武道館で単独ライブ。90年に解散、ベースの西山史晃、ドラムの深沢靖明とともにKNiFeを結成する。2013年、ROGUEを再結成、チャリティーライブ「GBGB」を始める。