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聞きたい
【昭和高校球児物語-前高 完全試合のキセキ-▶65】
総集編・高校2年秋
2023.05.25
序盤の試練乗り越え快進撃
さあ、完全試合へのカウントダウンが始まります。
新チーム同士で戦う秋季県大会。前橋高は1回戦不戦勝。2回戦は前橋商高を5-0で破りました。
3回戦は太田工高。序盤、守備の乱れから0-4とリードを許し、ナインの頭にはコールド負けがよぎったそうです。
しかし、粘り強く反撃、6-4と逆転勝ちします。この試合は大きなターニングポイントとなったようです。ここで負けていたら、もちろん甲子園出場はかないませんでしたし、ごくごく平均的なチームで終わっていただろうということです。
一つの試練を乗り越えると、快進撃が続きます。準々決勝、地力のある館林高を相手に先制を許しますが、打線がつながり、10-1でコールド勝ち。
準決勝は強豪・前橋工高を5-4で退け、決勝進出を果たすとともにセンバツにつながる関東大会の出場権を獲得しました。
県大会決勝、相手はもちろん桐生高。木暮洋の左腕がさえわたります。唸るように切れ込んでくる速球、左打者にぶつかるかと思うような切れ味鋭いカーブに前橋高はわずか2安打。0-3の得点差以上の力の差を見せつけられました。
「マエタカ黄金の年」 時の運
実はこの年の秋、前橋高は創立100周年を迎えました。岡本倉造校長はNHK大河ドラマのタイトル『黄金の日々』にかけて、「マエタカ黄金の年」と生徒を鼓舞していました。時の運、勢いというのも快挙を後押ししたのかもしれません。
地元・県営敷島球場が主会場となる関東大会はいよいよ快進撃が続きました。1回戦の千葉敬愛高戦を11-0、6回コールドで下します。
2回戦は前年の関東大会で完敗した東海大相模高が相手。夏の甲子園でも投げた左腕を擁し、柔道の山下泰裕さんの弟というスラッガーもいた全国でもトップクラスの強豪でした。
1回戦の勝利で甲子園が少し近くなったこともあり、球場は前橋高生であふれかえりました。熱烈な声援を受けたナインは初回、鮮やかな先制攻撃を仕掛けます。1番の川北茂樹が四球で出塁すると、2番の堺晃彦とのエンドランは左中間2塁打となり、打者2人で先制。2回、3回、5回と小刻みに追加点を奪い、投げてはエース松本稔が頭脳的な投球で打たせて取ります。6-2で快勝です。
強豪を撃破し完全に勢いに乗った前橋高は準決勝の相手、川口工高も序盤から打線が爆発します。松本の投球もさえわたり、7-1で快勝です。
センバツ甲子園には関東から3校程度の出場枠があり、これでほぼ確定となりました。ナインをよそに在校生やOBが詰めかけた応援席は大盛り上がりでした。
迎えた関東大会決勝。剛腕投手、菊池総率いる印旛高と対戦しました。落差の大きいカーブとのコンビネーションが絶妙で、好調だった前橋高打線は3安打に封じられました。
4連投の松本も粘り強い投球をしますが、手堅く得点を重ねられます。0-3。惜しくも優勝は逃しますが、甲子園の夢がぐっと大きくなりました。
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