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【昭和高校球児物語-前高 完全試合のキセキ-▶64】
総集編・高校2年夏

2023.05.23

【昭和高校球児物語-前高 完全試合のキセキ-▶64】
総集編・高校2年夏

松本、夏のマウンドを守る

完全ナインは2度目の夏を迎えました。

第1シードで迎えた昨年は3年生の投打の主軸が故障し、まさかの初戦敗退を喫しました。

今回は相澤雄司が正捕手としてマスクをかぶり、佐久間秀人が一塁、堺晃彦が三塁の定位置をつかんでいました。松本稔はレフトでの登録。3年生が5人しかいないこともあり、2年生は他の4人も全員ベンチ入りしたのです。

夏の大会、1回戦は吉井高に9対0、2回戦は伊勢崎東高(現伊勢崎高)に8対1でともにコールド勝ち。最高の滑り出しでした。

ここまでマウンドを守ったのは背番号7を付けた松本。昨年秋の県大会優勝投手、エースの小出昌彦は故障で投げられませんでした。

ベスト8をかけた3回戦、松本は関東学園高を完封、チームは2対0で勝利しました。3試合全イニングを投げ、失点はわずかに1。この夏の経験が秋季大会に生きたことは間違いないでしょう。

準々決勝はタレント揃いの農大二高。前半は一進一退の攻防でしたが、終盤、突き放され、2対5で“終戦”となりました。

県大会王者にも輝いた1学年先輩。5人しかいなかった

新チーム始動、「不動のオーダー」完成

「カワキタ、頼んだ、お前がやってくれ」。安藤敏彦から涙の檄を受け、川北茂樹が主将に就任、新チームが始動します。

新チーム初日、ポジションが発表されました。外野手だった川北は三塁に転向、同時に左打ちを命じられます。「チームうんぬんよりも自分のプレーで精一杯。開き直ることしかできなかった」と昭和高校球児物語の中で振り返っています。

チームで衝撃だったのが正捕手、相澤のライトへの転向でした。松本、相澤ともに頑固であり、サインを巡って息の合わない場面もあったようで、1年後輩の高野昇を捕手に起用しました。

1番・川北、2番・堺、3番・相澤(左から)

4番・松本、5番・佐久間、6番・高野

7番・石井、8番・茂木、9番・田口

8月7日、新チーム最初の試合は富岡高との練習試合。1番・川北(三塁)、2番・堺(遊撃)、3番・相澤(右翼)、4番・松本(投手)、5番・佐久間(一塁)、6番・高野(捕手)、7番・石井(左翼)、8番・茂木(中堅)、9番・田口(二塁)。

結果的に1年間ほぼ変わらぬ「不動のオーダー」が編成されました。

因縁の相手、桐生高とも練習試合をしています。2試合とも負けはしたものの、食い下がる意地を見せたようです。

しかし、桐生高には1年秋の県大会決勝で勝利して以来、勝てなくなりました。この先も県大会や関東大会の決勝で何度も戦いますが、すべてはねつけられてしまいます。

前橋高ナインが桐生高に借りを返すことになるのは高校を卒業して、還暦近くになるまで待たなければなりませんでした。

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昭和高校球児物語-前高 完全試合のキセキ-

センバツ出場40周年を記念して行った桐生高との親善試合。前橋高が初めて勝利した=2018年3月24日