interview
聞きたい
【昭和高校球児物語-前高 完全試合のキセキ-▶62】
総集編・高校1年冬
2023.05.19
地道な練習が体幹を強くする
旧天川原校舎のポプラが葉を落とし、校庭南に並んだイチョウの黄色い葉も枯れ始めると、冬が迫ってきたことを実感できました。
10㌔の校内マラソン大会が開かれます。学校の南側はいまのように住宅や店舗が建ち並んでおらず、のどかな田園地帯。何も妨げるものがなく、後半は容赦ない北風に向かって、ただひたすら走るようでした。
野球部にとっては練習の一環として走る、勝手知ったるコース。学年別で相澤雄司が2位、川北茂樹が8位、茂木慎司が10位と上位に入りました。
12月に入ると、サーキットトレ-ニングが中心となります。ボディビルもやっていた「シゲちゃん」こと齋藤茂先生の考案。翌日の筋肉痛は過去に経験したこのない激しさでしたが、これもナインの体幹強化に大いに役立ったようです。
インターバル走やティーバッティングなど、冬季は地味な練習が多く、気分は乗りませんが、黙々とこなしました。
普段、家に帰ると「バタンキュー」のナインも少なからず。オフシーズンは少しでも勉強して他の生徒との差を詰めたいところです。親御さんもそれを願っていたことだったでしょう。
恋愛映画に目潤ませる純情
でも、青春時代。クリスマス前後になれば、いまほどではないにしても街は輝いていました。
前橋駅前のけやき通りに当時あった文映という映画館へ1年生同期で映画を観に行きました。
『ラストコンサート』という恋愛映画。主役のショートカットの女優、パメラ・ピロレッジにみな一目ぼれ。相澤雄司は目を潤ませていました。
切なく感動的な映画だったのでしょう。でも、おそらく周りはカップルばかり。イガクリ頭の集団はさぞや異様だったでしょう。
正月三が日は練習が休み。4日に野球部OBが神主を務める駒形神社へ往復8㌔、ランニングしながら新年祈願を受けました。ここで“事件”が起きるのですが、それは本編でご確認を。
1月以降の練習は木製バットを使ってのハーフバッティングと塁間を短くしたボール回しをみっちり行いました。いずれも、後に成果が現れます。
3月に入ると、スパイクを履いて練習するようになります。走塁や遠投で、見違えるように成長した自分を実感します。
ひたすら繰り返した地味な練習がナインの体幹を大きく鍛えてくれました。「努力は嘘をつかない」。そう実感したことでしょう。
春に向けた通常の練習に切り替わりました。長いようで短い1年が過ぎていきました。
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