【前橋500円グルメ探検隊▶10】
上州手打 うどん屋

　「もり、お願い」。「大がけね」。12時の開店と同時に店に飛び込む客が次々に注文していきます。大釜ではうどんがいままさに茹で揚げられるところ。女将さんが大ざるにすくい、大量の流水で締めていきます。あめ色に輝くうどん。旨そうだな。
　揚げたての天ぷらが10種類ほどカウンターに並びます。ゴボウにするか、シュンギクか。あっ、フキノトウを発見。決まりですね。

　「いつも」の、もりをもらい、天ぷらを一つ。これで500円でお釣りがくるなんて。
　さっそく、うどんを啜ります。まずは、ワサビを麺に乗せて刺身のようにして。一瞬ツーンとしますが、すっきりしたうどんを楽しめます。
　つるつる、しこしこ。縮れある色白のうどんは太さがぞろい。上州うどんの醍醐味でしょう。汁も安定した旨さです。

　フキノトウの苦みは春を感じます。天ぷらは定番の野菜に加え、秋にはキノコなど旬の食材がそろいます。大きなゲソ天がなくなったのは寂しい限りですが、ナマズなど新たなネタも登場します。

　ワンコインメニューはこのほか、海苔が大量にかかったざる、温かいものだとかけやたぬき、月見があります。かけに天ぷらを付けても大丈夫。おろしやとろろ、山菜、みそも500円台です。

　開店して45年が過ぎました。愛想のいい女将さんと娘さんで店を切り盛りしています。
　「よく値上げしないで頑張っていますね」と声を掛けたら、「お客さんだけ値上げしようか」と笑わせる女将さん。「仕入れが上っちゃって大変なのよ。でも、美味しいんうどんを気軽にお腹いっぱい食べてほしいから。できるだけ頑張ってみます」。亡きご主人が遺した店を守っています。