初日総本店
ミルフィーユカツの太巻き

寿司店、それも創業133年の老舗がとんかつの寿司を出すと聞き、興味津々やってきました。「豚ちゃん棒」の名でT-1グランプリに参戦しています。

シャリにキャベツを置き、その上にタレを絡めた揚げたてのカツを太巻きにします。カツサンドのようですね。サクッと８切れに。大きいな。

「味は付いていますので、まずはそのまま。お好みで自家製タルタルソースを付けて召し上がってください」と女将の諸田由美子さん。大きな口を開けていただきます。あれっ、美味しい。酢飯にかつ、合うじゃないですか。これは意外でした。

秘訣はタレにありそうですね。ソースに醤油を加えることで酢飯と喧嘩することなく立派な寿司になります。タルタルもキュウリ漬けを入れたおかげで、ワサビ漬けのよう。ますます、寿司に寄ってきます。

カツの食感も抜群。群馬県産の豚肉のロースとヒレを薄くスライスしてミルフィーユにしています。ヒレの旨みとロースの脂を同時に味わえ、まるで、マグロの赤身とトロを同時に巻いた感じ。これは凄い。

しきりに感心していると、「こちらもどうぞ」と一貫サービスしてくれました。カラスミのような色で炙っています。濃厚な魚卵のよう。白子を硬くした感じで初めて食べる寿司ネタです。

正体はモッツァレラチーズの漬け。須藤牧場の醤油漬けチーズをバーナーで炙ったにぎりです。ほどよく溶けたチーズに焦げた醤油が重なり、これまた一本取られました。お見事です。

１世紀以上前の寿司の再現した「秋次郎の寿司」をはじめ、江戸前の伝統的な仕事を大切に守りながら、常に改革する姿勢を忘れません。

40 年前から始めたフォアグラはこちらが元祖。次はどんな寿司が登場するか。ワクワクさせてくれる名店です。