会席そば 草庵
３種の蕎麦 食べ比べ

南天の赤い果実が彩りを添える中庭を眺め、趣のある和の個室で蕎麦を手繰る。心が洗われます。

月替わりの変わり蕎麦が２枚と基本の蕎麦が１枚、順番に出てくる三味が人気。温かい種物で一番好きな霰（あられ）蕎麦が付く霰三味をお願いしました。

本漆のお盆にまず磯切りが登場します。ソバの実の中心部である更科粉に練り込んだのは新海苔。透けるような蕎麦の中に色濃い海苔が見えます。いい香りが飛んできます。食感も滑らか。

２枚目は黄色が鮮やかな柚子切り。江戸風の濃い汁に少し付けて。そこはかとなく柚子が香ります。

最後は品のいい器に入った霰蕎麦。海苔の“座布団”の上に霰、青柳の貝柱がちょこんと乗っています。もり汁とは違い、種物の汁には薄口醤油を使い鰹節も変えるそうです。

貝柱を汁に浸します。貝柱のエキスが溶け出し、すっきりした汁に旨味が加わります。柚子やミツバもいい仕事をします。

基本の蕎麦は契約農家から仕入れた玄ソバを石臼挽きにして二八で打ちます。産地は新蕎麦を追いかけるように北海道から始まり、いまは妙高高原。仲居さんによると「甘皮だけを贅沢に使い、香りがあってコシが強く栄養価も高い」とか。もりでもいただきました。はい、ご指南の通りでした。

最初に麦茶、最後に煎茶が出てきました。最初に煎茶を飲むと、タンニンの影響で蕎麦の風味が感じられなくなるのです。さすが名店です。