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【特別対談】飯塚花笑×日沼大樹
花笑監督を丸ごと上映する理由
2026.06.08
前橋在住の映画監督、飯塚花笑さんの特集上映「Inside the mind of KASHO IIZUKA」が6月13日から26日まで、前橋シネマハウスで開かれる。上映されるのは長編3作品と『ブルーボーイ事件』以降に撮った短編2作品。上映を前に、飯塚監督と同館支配人の日沼大樹さんが、笑いを交えながら作品の魅力と映画館で観る意味を語った。
(取材/阿部奈穂子)
5作品を一気に観る機会
▲『フタリノセカイ』の1シーン
――今回の特集上映は、どういう経緯で決まったのでしょうか。
日沼 『ブルーボーイ事件』で、前橋に飯塚花笑という監督がいて、群馬を拠点に映画を撮っていることを知った人は増えたと思います。でも、その前の『フタリノセカイ』と『世界は僕らに気づかない』も絶対に観てもらいたい作品。そして、『ブルーボーイ事件』以降に撮影した短編2本もすごく良くて。それで長編3本と短編2本、全部やりたいね、ということになったんです。
飯塚 今年の初め頃から、ふわっとそんな話が出ていましたね。自分の作品を5本まとめて上映していただくのは初めてなので、ありがたいです。同時に、幼少期のアルバムをこっそり見られるみたいな気分もあります(笑)。
▲終始、笑顔の絶えない対談となった。飯塚監督(写真左)と日沼支配人
日沼 でも花笑さんは撮影や海外の予定があって忙しい。映画館も上映作品が多すぎて、なかなかスケジュールに入らない。どうする、どうする、と予定を合わせていったら……。
飯塚 6月だけ空いてたんですよね。
日沼 そう。できれば6月11日の花笑さんの誕生日にかかるとよかったんですけど、上映は13日から26日まで。僕の誕生日は6月17日なので、そこにはかかりました。
飯塚 それ、いま初めて知りました(笑)。
▲『ブルーボーイ事件』の1シーン
押しつけずに届く強さ
――飯塚監督作品の魅力は、どこにあると思いますか。
日沼 マイノリティーや生きづらさを抱える人たちを描いているけれど、「こう考えなさい」と押しつけないところです。そう言われると、拒否反応を示す人もいる。でも花笑監督の作品はまず映画として面白い。完成度が高いから、物語として入っていける。その中で、人間とは何か、人権とは何かを自然に考えることになる。そこがすごいところだと思います。
飯塚 日常の中にはカメラがなかなか入っていけない場所があります。そこにいる人たちがどういう思いで暮らしているのかは、簡単には切り取れない。だからこそ、フィクションの中で、観る人のすぐ近くで起きていることとして体感できるように作り上げたい。それは大切にしてきましたね。
▲みなさんが体感できるような映画づくりをと飯塚監督
古い順に観ると変化が見える
――5作品は、どういう順番で観ると面白いでしょうか。
飯塚 作り手本人の意見としては、制作年の古いものから観るのが一番面白いと思います。『フタリノセカイ』から観ていただくと、被写体やテーマとの距離感、描き方が少しずつ変わっていくのを感じてもらえるかもしれません。
日沼 『フタリノセカイ』は撮影が2018年ですよね。
飯塚 そうです。公開は2021年ですが、撮影したのは27歳のとき。いまより幼い自分が考え、若さのエネルギーで作っているなと思います。思春期の日記を見返すような気恥ずかしさもあります。
▲『フタリノセカイ』の1シーン
日沼 花笑監督にも、そういうのあるんですね。
飯塚 ありますよ(笑)。短編の『薄壁は戦っている』『サイドB』は、『ブルーボーイ事件』の後に撮った最新作です。東京で教えている俳優スクールの学生たちが脚本を書き、僕が選んで改定を手伝い、演出しました。今年のテーマは「壁」。若い人たちの、まだ言語化しきれないモヤモヤや、吐き出したいものが入っています。
▲壁をテーマにした短編2作も上映
人生観を変えた一本
――日沼さんにとって、飯塚作品はどんな存在ですか。
日沼 最初に『フタリノセカイ』を観たとき、「うわっ、すごい作品だな」と思いました。自分の頭の中になかったことが、世の中にはあるんだと教えられた。あの映画を観てから、身近にいる人に対しても、「この人にはこの人なりの事情や生い立ちがあるのかもしれない」と考えるようになりました。マイノリティーの人たちのことをもっと知りたいと思うきっかけにもなりましたし、2024年にインクルーシブ映画祭を開いたのも、その延長にあります。
飯塚 それはうれしいですね。
▲飯塚監督に大いなる刺激を受けたと日沼支配人
日沼 しかも花笑監督って、普段は映画監督っぽくないんです。サンダルに半パンに麦わら帽子みたいな、すごくラフな印象で。でも『ブルーボーイ事件』の現場では全然動かずに、ものすごい目力で現場を見ている。「うわ、めっちゃ監督だ」と思いました。
飯塚 現場では人が変わる、スイッチ入るねとは、よく言われます(笑)。
日沼 オンとオフの切り替えができる人って、ある意味、憧れなんですよ。作品自体も魅力的だけれど、そういう人柄も含めて、ますます応援したくなりました。
▲『世界は僕らに気づかない』の1シーン
――最後に、監督から観客へメッセージをお願いします。
飯塚 単体で作品に興味を持っていただけるのもうれしいですが、すべて観ていただくと、僕が普段どういうふうに世界を見ているのか、その視点や視野を感じてもらえると思います。目に見えるものの裏側や、普通に歩いていると見落としてしまうものに反応するんです。観た人自身の中に、新しい視野が増えるような感覚になってもらえたらうれしいです。
▲期間中に4回、舞台挨拶やトークイベントを行う飯塚監督
Inside the mind of KASHO IIZUKA
飯塚花笑監督特集上映
会場/前橋シネマハウス
会期/2026年6月13日~26日
上映作品
『フタリノセカイ』
『世界は僕らに気づかない』
『ブルーボーイ事件』
『薄壁は戦っている』
『サイドB』
※上映時間・登壇日は前橋シネマハウスの公式サイトで確認。
問合せ
前橋シネマハウス
- お問合せはこちら
- 027-212-9127
| 住所 | 前橋市千代田町5-1-16 アーツ前橋上(3F) |
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