真心庵 そばひろ
賄い料理をご馳走に昇華

「あっぱれ」。思わず叫びたくなる料理です。ソースカツ丼に使うヒレ肉を最高にやわらかく食べてもらえるよう、わずかな筋も残さずきれいに取り除いた部分をそぼろにしました。これぞ、SDGｓ。

食べてみましょう。「福豚ヒレ肉そぼろ丼」です。中央に卵黄が乗り、薬味のネギがかかっただけ。

木のスプーンで肉とご飯を一緒に一口いただきます。そぼろは蕎麦の出汁にオイスターソース、酒、砂糖とわずかに豆板醤を加え、味を調えます。

そぼろといっても、赤城南麓で大事に育てられた最高の肉質「福豚」。味付けを控えめにしているので、肉本来の旨みがよく分かります。

自家製旨ダレが付いてきますので、後半はこれをかけ、卵黄を崩してかっ喰らいましょう。醤油べースのタレはニンニクとゴマ入り。素朴で繊細だった丼が豪快で野趣あふれる丼に変身します。しかい、旨いな。

もともとは賄い用にハンバーグなどにしていましたが、ヒレ肉を完璧にするため取り除く部分が増えて破棄することもあったそうです。

「美味しいし、もったいないのでお客さまに魅し上がっていただけるよう、いろいろ考えた中の一品です」と店主の狩野貴族之さん。「もっと安くしたかった」そうですが、Ｔ-1グランプリの最低価格500円に合わせました。その心意気も「あっぱれ」ですね。

食材にこだわるため、第１回T-1で入賞した「福豚ソースカツセット」も進化しています。３種類のソースを出汁で割ったタレにくぐらせた揚げたてのカツは本当にやわらか。ますます洗練されています。

もちろん、ここに来たら蕎麦を食べない手はありませんね。挽きたて、打ちたて、茹でたてを江戸蕎麦に近い濃い汁で粋に啜りましょう。