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【密着ルポ】雨の前橋中心街スナップ
東京カメラ部10選 富久浩二さんが切り取る
2022.11.30
東京カメラ部10選でスナップ写真の名手、富久浩二さんが再び前橋中心街の撮影に訪れました。今回は朝から続く雨でしたが、それも富久さんにとってはうれしい武器。道行く人の傘や濡れた路面を生かし、新たな前橋の風景を切り取ってくれました。密着リポートします。(取材/阿部奈穂子)
中央通りに小宇宙が出現
「こんなに広くて長いアーケードのある商店街はめったにないですよ。雨の日もストレスなく撮影できます」と富久さん。まずは中央通りからスタートです。
いきなり持っていたビニール傘(周りに花柄付き)を片手でぐるぐる回し、もう一方の手でカメラのシャッターを切り始めます。この小道具使いはすごい。突然、目の前に小宇宙が現れました。
「アーケードの場合、外から入って着た人は基本傘を閉じますが、閉じる前や、さす瞬間は見逃しませんね」。これが動きのある良い写真になるそうです。
弁天通りで色合わせを楽しむ
アーケードづたいに弁天通りへ移動します。
雨の日のスナップ撮影のコツを、富久さんはこう説明します。
「まずは街の色を覚えながら歩いてみる。ここに赤いポールがあるとか頭に入れておくんです。そして原色の傘の人を探し、覚えていた色の場所に来た瞬間を狙う。色の組み合わせがうまくいったら最高です」
ビニール傘は最強の小道具
富久さんが持っていたもう一本のビニール傘。7色のレインボーカラーです。これを使った作品が幻想的でした。グルグル回さなくても、思いがけない写真が撮れそう。帰宅後、思わずAmazonで購入してしまいました。
最後は銀座通りのグーチョキパービルの前で撮影。濡れた電灯とオブジェがノスタルジックで素敵です。雨の前橋中心街、富久さんの手にかかると映画の舞台みたいになりました。
次回は「るなぱあく」での撮影、期待しています。
とみひさ・こうじ
フォトグラファー。1970年福岡生まれ。東京都在住。2012、2013年「東京カメラ部10選」に選出。2011年 イギリスのマガジンCamerapixioにて日本人初の掲載/2012年 ナッジオのDaily Dozen2回選出/2012年 インドのAPF Magazine Street Photographyにて日本人初の掲載/2012、2013、2014、2015年イラクでの国際写真展に展示。