【貴方を薔薇に会わせたい－▶６】
ボランティアのばらガイドさん

おはようございます。

先ずはお日様にご挨拶から。雨が苦手なバラ達なのでお日様には待ってましたと感謝を込めてね。バラは雨にあたると花びらに滲みができたり、蕾のまま開かなくなるボーリングという現象になることもあるんです。

ばら園のバラが見事に開花してるのは、スタッフが毎日毎日、雨の日も風の日も、風邪の日も手入れをして下さっているからなんですよ。感謝、感謝です。

感謝といえば、ばらガイドさんも。ボランティアで集まった方々が園内を無料でご案内して下さってます。

ベテランの青砥優（あおと・まさる）さんの言葉には特にバラを愛する気持ちが現れていて凄くわかりやすく、私は青砥さんの大ファンです。

バラになった少女『のぞみ』ちゃんの話はぜひ聞いてもらいたいですね。作出者の小野寺透氏の姪の名前をつけたバラ『のぞみ』は、戦後、満州から引き上げるときに祖母と母を亡くし、一人、日本に向かう列車内で亡くなった3歳の女の子の悲劇の物語を、後にバラの作出を手掛けられた小野寺さんが平和を願って名づけられた可憐なバラの物語です。

日本で唯一、英国王立園芸協会の「アワード オブ ガーデン メリット」を受賞し、人気になり、今では世界中で咲き誇っている。という最後の青砥さんの笑顔が素敵なんです。「70の手習いでバラのボランティアを始め、12年になりました」と青砥さん。

その近くに咲く明智光秀の三女の『玉』のバラ。『ガラシャ』。

15歳になった玉は、織田信長の勧めで細川家2代当主・忠興に嫁ぎます。細川忠興の正室となった玉は、みなさんご存知の通り、本能寺の変で状況は一変します。忠興は信長の家臣による報復から玉を守るために離縁した上で、山深い地に幽閉しました。

やがて秀吉に許され、幽閉を解かれた玉はキリスト教にひかれ、秀吉による「バテレン追放令」が出される中、こっそり洗礼を受け、ガラシャ(神の恵み)となりました。

改宗を迫った忠興もその信仰を貫く姿に、ガラシャのために聖堂を造ったといわれています。ホントに愛されていたのですね。そしてまたみなさんご存知の秀吉の死後、徳川家康に対し石田三成が挙兵します。細川家の屋敷を取り囲み、ガラシャを人質に差し出すように迫るなか、ガラシャは子どもたちへの形見や手紙を残し、『心にかかることなし』と自殺を禁ずるキリスト教の信仰を守る為、最後は家臣に刀で自分の胸を突かせこの世を去りました。

「散りぬべき　時知りてこそ　世の中の　花も花なれ　人も人なれ」

散るべき時を知っているからこそ、花は美しい。人も同様にありたいものです。

38歳で散っていったガラシャそのものですが、バラの『ガラシャ』も玉そのもの、丈夫さは意思の強さと、桜のような美しさは玉そのもの。と青砥さんの語りをぜひぜひ聞きながら、バラ鑑賞をお楽しみ下さい。

言葉って、不思議です。誰かがくれた言葉が、すっと心に入って。長いことお守りになってくれるのありますよね。自分の言葉だけじゃ、自分を守れないこともあって。自分が知っているものなど、ほんのひとかけらで、かけたるもの、みえざるものを照らそうとするところに知性は伸びる。

バラの物語を語り続ける青砥さんにはそんなことを教えていただける気がします。

ばらガイドさんは事務所で受付しております。どなたでも無料でお願いできます。