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「アーツ前橋」特別館長に南條氏
アートと街が融合 民間と協働

2023.04.24

「アーツ前橋」特別館長に南條氏
アートと街が融合 民間と協働

アーツ前橋(前橋市本町)の特別館長に森美術館特別顧問、南條史生氏(73 )が就任することが決まった。5月1日付。南條氏は森美術館の館長時に斬新な企画を仕掛け、インバウンドによる集客を増やし国際展の総合ディレクターを務めるなど、現代アートの第一人者。「地域性と国際性、歴史と革新、創造性とラーニング、街とアートのバランスを取り、可能性を最大限に広げていきたい」と抱負を語った。10月に10周年特別展覧会を開く。

10月に10周年特別展覧会を企画

南條氏を支える館長には広島市現代美術館や兵庫県立美術館で学芸員や運営にあたった出原均氏(64)が就任、学芸員の指導や作品管理といった実務を担う。両氏とも任期は3年。併せて、学芸員が2人増員され、開館当時と同じ13人体制となる。

南條氏は4月24日の前橋市政記者会見に出席、「前橋は躍進している。現代美術の力でクリエイティブハブになれる。新しいビジネスを起こし、新しい発展をみせてくれる」と「めぶく。」前橋の可能性を高く評価した。

▲記者会見で、中央が南條氏

10周年記念展は「美術館の箱として閉じて活動するのではなく、街の人と連携し、アートと街が融合し相互に発展していく企画としたい」と説明、街中に作品を展示するパブリックアートを実践する考えを示した。

白井屋ホテルやギャラリーを併設する複合型施設まえばしガレリアとの連携については「非常に積極的に考えている。協働して面白いことをやっていく。そういう街が発展していく」と強調した。

出原氏はアーツ前橋に6回来館しており、「市民に開かれている印象を持っている」と指摘。「南條さんのビジョンをどう具体化するかが第一の使命。クリエイティブな人が集まる都市が発展する。市民と関係を深めていきたい」と抱負を述べた。

新体制について、山本龍市長は「南條さんには前橋市文化芸術戦略顧問をお願いしている。出原さんは行政経験が長く、学芸能力が高い。リボーンというか、逆襲ですね」と期待した。

▲アーツ前橋が変わる

南條氏は慶応大文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。森美術館の立ち上げに携わり、2006年から19年まで同館2代目館長として活躍。外国人向けプログラムの充実やバイリンガル対応に力を入れて外国人旅行客を増やし、斬新な企画で集客を飛躍的に伸ばした。

ヴェネチア・ビエンナーレ日本館、台北ビエンナーレ、横浜トリエンナーレ、シンガポールビエンナーレ、茨城県北芸術祭、北九州未来創造芸術祭など数多くの国際展の総合ディレクターも歴任している。