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【写真家・長瀬正太の視線Vol.11】
世界の全てが青くなる時間
2024.04.16
前橋ではおなじみの桜の名所、前橋公園にて撮影した1枚。少し非日常的な見え方をする桜写真を撮影するために私がこだわっているのは「時間」です。
二つの時間
一つはブルーモーメントと呼ばれる時間帯に撮影していること。
それは朝日が昇る30分ほど前と日没後の30分ほどの「時間」を指します。この時間帯に太陽のマークのホワイトバランス(カメラの色調整機能)で撮影すると写るもの全てが青く写るのです。
用水路のようなこの川の水は普段であれば緑色なのですが、ブルーモーメントの青色が重なることでなんとも深い碧色を見せてくれました。
そしてもう一つ。
私がこだわっている「時間」がカメラのシャッタースピードです。
1秒~6秒ほどの長いシャッタースピードとすることで、目では見ることのできない水の動感表現を演出しています。
この演出には、日の出前の暗い時間だからこそのシャッタースピードが長くなる要素と、可変NDフィルターという道具を使用しています。
可変NDフィルターとは、シャッタースピードを長くするためのサングラスのようなフィルターが2枚重ねとなっており、このフィルターの重なり方を回すことで黒さの濃淡が調整でき、カメラの絞り値やISO感度などの値を固定したままでシャッタースピードの長さを調整できる便利な道具なのです。
このシャッタースピードを長くする演出の場合、カメラを固定するための三脚や前述した可変NDフィルターなどの道具に加えて、シャッタースピードをコントロールするための専門知識などが必要になるためにすこし敷居が高いかもしれません。
ですが、ブルーモーメント時の撮影はモバイルカメラなどで撮影してもかなり青く写ってくれると思います。
(最近のモバイルカメラは暗くても手持ち撮影でブレにくい!)
ぜひ一度、世界の全てが青くなる時間に撮影を行ってみて下さい。
前橋公園の白い桜は特によく青に染まってくれることと思います。
こちらご参考までに。
撮影時間:4月上旬 午前5時頃 絞り値:f/4 シャッタースピード:1.6秒 ISO感度:100
※NiSi 可変NDフィルター使用
写真家 長瀬 正太(ながせ しょうた)
1975年、大阪府生まれ。現在、前橋市を拠点に活動している。心温まる草花のマクロ写真や絵画のようにも見える風情ある風景写真を撮影。国際的な写真フェスティバルへの招待や国内での企画展示も多く、繊細な和紙印刷技術に定評がある。打上花火を独自の撮影法でとらえた「火の鳥写真」など新しい表現にも挑戦している。
■URL:https://shotanagase.myportfolio.com/
■火の鳥写真:https://shotart.myportfolio.com/
■Twitter:https://twitter.com/syouta0002
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