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半世紀のコレクション一堂に
元高校教師、内山さんが“個展”
2025.07.03

群馬県立高校の英語教師を38年間務めた内山武さん(86)=前橋市=が50年以上にわたって収集した絵画や彫刻、陶芸など220点を集めた「きまぐれコレクション展」が7月3日、前橋市芸術文化れんが蔵で始まった。著名な作家の作品とともに、絵画や書道を指導していた元同僚や教え子の作品が並んでいる。7月9日まで。
前橋れんが蔵で7月9日まで
内山さんがコレクションを始めたのは30歳過ぎ。旅行に行っては好きな日本酒を飲めるぐい飲みを買い集めたのがきっかけだった。いまもお気に入りの3個で晩酌をするのが「最高の喜び」という。
ぐい飲みは会場に入ってすぐのコーナーに展示されている。備前焼や常滑焼、ガラスや木製と多彩な作品があり、酒を愛する気持ちが伝わる。

▲最初にコレクションを始めたぐい飲み

▲来場者に1人1個プレゼント
コレクションは版画、写真といった手に入りやすいものから、元同僚や教え子、さらに著名な画家の作品にまで広がった。一つ一つが内山さんにとってかけがえのない「お宝」だ。

▲内山さん(右)と前橋高時代の教え子
前橋高校に勤務していた時の同僚で書家の岡庭征人(呑石)さん、画家の井田淳一さんには与謝野蕪村の俳句「菜の花や 昼ひとしきり 海の音」の掛軸を依頼した。「岡庭先生はすぐに書いてくれたが、絵がなかなかできない。井田先生は菜の花が咲くのを待っていた。2人とも実直な芸術家でした」とすでに鬼籍に入ってしまった亡き友を懐かしむ。

▲岡庭・井田コンビの作品。右上が蕪村の掛軸
甲子園に春、夏出場
内山さんは榛名高を皮切りに伊勢崎東高、前橋高、中央高に勤務した。野球部の部長や顧問も務め、甲子園に2度出場している。
前橋高校が1978(昭和53)年春に甲子園史上初の完全試合を達成した時のエースで中央高時代にも監督、部長として一緒に夏の甲子園に出場した松本稔さん(現桐生高監督)も会場に駆け付けた。「打撃投手もノッカーも素晴らしかった。まさに”二刀流”の指導者でした」と恩師に感謝していた。
内山さんは「きまぐれに集めたものは傾向も筋も通っていない。しかし、いま、その作品群が愛おしい。自分が見たい、そしてみなさんに見てほしい。『生前葬』だと思い、多くの人と顔を合わせたい」と来場を呼び掛けている。
内山武「きまぐれコレクション展」

・会期 2025年7月3日(木)~7月9日(水)
・時間 10時~17時(最終日は15時)
・会場 前橋市芸術文化れんが倉庫
(前橋市三河町1-16-27)
・協力 阿久津画廊
・連絡 ☏090-6180-8877(内山さん)