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学びたい
噴水より愛を込めて
前橋駅前にある男女の像の物語3
2023.01.15
見つめ合う2人が見たい
「前橋駅の噴水の男女の像はいまもロータリーにあります」。前橋市都市計画課から情報を得て探しにやってきた。すでに撤去され、どこかに保管されているのだと思っていた。
音楽ライブを時々開く、最も人が集う中央部にはない。駅前交番に聞いたところ「見たことありません」。タクシーの運転手さんも知らないという。
バスの運転手さんに聞こうとして、一番北のバス停に向かったら見つかった。バスターミナルの最北部、植え込みの中に立っていた。
駅北口を降りて真正面に位置するが、バスが待機していたりして見づらい。なぜ、こんな辺鄙な場所に移されたのか。理由は定かではない。
視線を未来へ移そう。
前橋市の歴史的風致維持向上計画が昨年12月、国から認定されたのを受け、重点区域の「厩橋地区」に入った前橋駅周辺では歴史的景観を向上させる事業が展開される。
噴水だけでなく、1927(昭和2)年に建築され、噴水とともに解体された洋風建築の旧駅舎の復元も構想されている。
一方、駅東に市内で県庁に次ぐ高さとなる地上27階建てのマンションの建設が進んでいる。旧駅舎が復元されれば、歴史的景観と都市的景観が重なり合うことになる。県都の駅に夢が膨らむ。
歴史的風致維持向上計画協議会の手島仁会長は「レトロな駅舎と噴水はワンセット。駅から伸びるけやき並木と合わせて、前橋が一番発展していたころを象徴する原風景を再現したい」と強調する。
さて、噴水にかつての像を再び建立させるとしたら、どう置くのだろうか。再び、背中合わせで衝立に仕切られたら、あまりにも残酷だ。
一つ提案したい。女は南を、男は北を向き、お互いが見つめ合えたら。像も街も幸せになれそうだ。
県庁に次ぐノッポビルに
ブリリアタワー前橋 地上27階、地下1階、高さ約94㍍の高層マンション。完成は来年6月の見通し。前橋市と東京建物などによる公・商・住が一体となった複合再開発事業で1階に商業施設、2階に子育て支援施設が入居する。住宅は総戸数203戸。最高価格が1億円を超す「億ション」となりそう。
※写真を提供いただいた阿部勇一さんが管理する「思い出の前橋駅」もご覧ください。