interview
聞きたい
【聞きたい さとやん1 ▶︎】
朝のあいさつ「ボンジーアー」メールと手紙、必ず読みます
2021.08.24
この人の「言葉」にどれだけ多くの人が勇気をもらっただろう。人生が変わった人だっているかもしれない。エフエム群馬で人気のDJ、内藤聡さん。人懐っこい顔立ちと巨体。「さとやん」「親方」とイジられながら、きょうも元気に絶叫する。
―「ボンジーアーー」。午前7時半。この絶叫で群馬の朝は始まります。エフエム群馬の看板番組「WAI WAI Groovin’」のオープニング。「いい1日になりますように。行ってらっしゃい」。リスナーに向かって元気にあいさつしますね。
自分へのスイッチ、さあ、今日も始まるぞという。毎朝、緊張しますよ。聞いている人のスイッチにもなるから責任感感じます。学校や会社に行くわけですよ。ここで調子悪かったら気合入りません。
―どういう意味でしたっけ?
ポルトガル語の『おはよう』です。日系人の友人が多く、名古屋の放送局時代から使っていました。ラテン好きなんですよ。実はエフエム群馬に来て、この番組「ワイグル」の初放送の日、本番直前にスタッフに「ボンジーアーと叫びます」と告知したんです。「えっ、何ですか」と驚いていましたが。
―リスナーの反応はどうでした。
リスナーの心をつかもうとしたんですがね、何とクレームがきちゃいました。「朝はゆったり、さわやかにやってほしい」「うるさい」とか。でも、ボク、変なところで意固地なので続けました。
リスナーもすっかり慣れてしまったんでしょうね。「昔は嫌だったけど、今はこれを聞かないと1日が始まらない」とメールしてくれた人がいました。僕のスタイルが受け入れてもらえました(笑)。
―音楽や交通情報がかかる合間、スタッフから束のようなメールが届きます。
毎朝、1000通は来ますから。コロナの影響で小学生や中学生からもたくさん来るようになりました。ハガキも届きます。5歳の子はウサギの絵を描いてくれました。うれしかったな。
ラジオ(の良さ)に気づいてくれたのでしょうか。毎日、交換日記をしているようですね。わざわざ、「番組では読まなくてもいいです」と書いて送ってくれるファンもいます。放送で読めなかった分も含めて、すべてに目を通しますよ。
医療従事者や飲食店の方からは悲痛な声も届いています。ボクも生半可な言葉は発せられません。
―コロナであったり、大震災であったり、大きな危機に襲われると、ラジオの底力を感じます。
3.11の時、名古屋の放送局にいました。地震発生から1時間後に生放送です。何を言っていいか、言葉にならず、ふがいなさを感じました。
そうしたら、リスナーから普段通りにやってくれって言われました。できるだけ、声のトーンを変えずに、避難情報もボクの声で届けました。普段通りの暮らしを待っているんですね。ラジオの強さ、本質って、そんなところにあるのかなと思います。
内藤聡(ないとう・さとし)
1975年6月、藤岡市生まれ。高校時代は野球部に所属。大阪芸術大在学中に放送業界に入る。大阪、神戸、名古屋、北海道のFM局でDJを務める。
FM GUNMA
2020年『WAI WAI Groovin’』 月曜日―金曜日 7:30~11:00