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食べたい

ブーランジェリートムソーヤ b-tom
天然酵母が香る、ずっしり甘栗と3種のチーズ

2025.11.16

地域の暮らしに寄り添って

　住宅街の一角に、薄いブルーの外観がふっと現れます。看板には「天然酵母無添加」。ごまかしのないパンを焼く店だと、一目で伝わります。

▲この看板が、真っすぐな仕事を語っています

　店内に入ると、焼き立ての香りが包み込みます。19年間、地域の暮らしに寄り添ってきたパン屋です。

　「種類は多くないんですよ」と店主は笑います。けれど、棚には40種近いパンが並び、どれも丁寧な仕事ぶり。

▲天然酵母を使ったパン

▲ドイツのお食事パン、センメルも

　生地をこねる音、窯から漂う甘い香り、どれも静かなリズムで流れています。完熟ブドウから起こした自家製酵母とイーストを使い分け、季節や気温に合わせて焼き上げる――そんな職人の勘が息づいています。

　まん丸でずっしりとした「天然酵母甘栗」をいただきます。手に持つと、思わず“おっ”と声が出る重み。

　ひと口かじると、まずワインを思わせる香りに驚きます。周りはサクッと歯が入り、中はしっとり。　

　栗の優しい甘さに、酵母の酸味がそっと寄り添います。しみじみ「いいパンだ」と思わせる余韻が残ります。

▲持つとずっしり

　もうひとつ、「3種のチーズブレッド」もいただきます。これはチーズ好きが拍手喝采したくなる組み合わせ。クリームチーズ、モッツァレラ、そして少しクセのあるブルーチーズ。
　とろける塩気とコクを、ブドウの香りをまとった生地が受け止め、噛むたび旨味が広がっていきます。

▲3種のチーズがパンの中で交流しています

　気取らないけれど、ただものではない。日常の向こう側にあるおいしさが、静かに焼き上がっています。