鮨 万両
創業73年、３代目の矜持

　前橋市中心街で最古参の寿司屋さんでしょう。暖簾を掲げて73年。３代目のご主人、清水利恭さんが祖父から続く伝統の技をしっかり守っています。
　ランチ専用に「万両丼」という海鮮丼がありますが、久しぶりに握りを食べたくなりました。カウンターに座り、上寿司をお願いします。

　「シャリはいかがしますか？」と聞かれます。万両丼はご飯少なめにしてもらいますが、握りなら大丈夫でしょう。「普通でお願いします」
　巨体に似合わず器用な手さばき。柵からさばいては素早く握っていきます。寿司のライブ観戦です。

　寿司下駄には握り６貫と巻物１本。それにしても、マグロの旨そうなこと。つい赤身に手が伸びます。味が濃く、歯応えもしっかり。豊洲市場の長年付き合いのあり業者から生を送ってもらうそうです。

　白身はタイの昆布締めでした。ふわっと昆布のいい香り。身が締まり、ほどよい弾力です。
　肉厚なホタテは甘みがすごい。エビの茹で方も完璧。プリプリしています。

　巻物はうれしい３種。マグロの中落ち、カッパ、カンパチの中落ち。この順で食べるのがいいですね。キュウリが口をさっぱりさせてくれますので。

　イクラの軍艦は大きめの粒が山盛り。値段が高騰しているのにうれしい量です。あー、旨い。

　ガリで口直ししたら、最後はもちろん中トロです。しっとりとした脂の乗り、ほどよい甘み。やはり「マグロは前橋に限る」ですね。
　古くからの常連さんの中には施設に入っていたり、店まで来られない人もいて、出前を頼まれることがあります。贔屓にしていた店の寿司、最高でしょうね。