聞きたい櫻井さん5▶︎
原点回帰に「リボーン」
ピンチをチャンスに変える

「ハートマーケット=心の市場」。何と心に染み入る素敵な名前だろう。代表の櫻井明さんは天からの授かりものというこの言葉を28年間、大切にしている。経営者として決して順風満帆ではなかった。運に恵まれず、人に裏切られ挫 折も味わった。それだけに「ハート」を大事にしている。わずか8坪で始まった店は全国60カ所以上に広がった。

―アパレル業界に入ったそもそものきっかけは何だったんでしょう。
 「小さいころからファッションに目覚めていました。小学3年からブランドものしか着なかった。JUNとかVANが全盛のころでした。
 生まれ育った安中には店がないので、高崎駅前の高崎屋とか、よく行きましたね。働いたこともあります。高崎の街ではちょっとした“顔”でした。
 まあ、ファッションが好きだったのでしょう。そういう意味では天職だったと思いますよ」
 ―事業に2度失敗したことがあり、そこからはい上って成功を収めました。失敗と成功を分けたものはなんでしょうか。
 「若いころはどうしても自分本位でした。儲けようとか、いい暮らしをしたいとか。まあ、それが当たり前と考えていました。うまくいかないことを人のせいにしていたことが多かったですね。
 ハートマーケットを始めて、『喜ばせ合戦』をするようになって、どれだけお客さまや周りの人間が喜んでくれるかが大事だと素直に思えるようになった。失敗を人のせいにしないようにもなりました。この差かな、成功と失敗を分けたのは」
 ―ハートマーケット創業から28年。もうすぐ迎える30周年に向けて、どんな展開を考えていますか。
 「店舗は全国60カ所を越え、売上高は2016年度に100億円を突破した。コロナの影響もあり、100億円を割っているが、100億円は必ず復活させます。300億円はやるぞと決めている。
 コロナの影響もあって、閉店を余儀なくされる店もあるが、逆に出店を求められることもある。まさに、捨てる神あれば拾う神あり。ピンチはチャンスととらえたい。
 数字にはこだわりますよ。売り上げが伸び、店舗数が増えれば、全国の多くの人に良い服を安く届けることができますから」
 ―目標を達成させるためには何が必要ですか。
 「創業の原点に返ることに尽きます。「お客さまの笑顔のための店」、「お客さまに喜んでもらえる店」がハートマーケット=心の市場です。
 コロナで教えられたことがあります。人のせいにしないと言いましたが、コロナ禍で業績が悪化して『コロナのせい』と考えていた時期はありました。去年の10月まではそうでしたね。
 いまは『コロナのおかげ』と感謝できるようになりました。大切なことをいっぱい教わりました。
 ふんぞり返っていた自分が、会社がいたのです。改めるべきは自分たちでした。常に創業時の思いを忘れず、謙虚に商売していかなければなりません。
 そのために掲げた改革『リボーン(再生)』を実践していきます」

 
 

さくらい・あきら

1963年5月、安中市生まれ。農大二高卒業後、国鉄に就職する。洋服店勤務を経て起業する。2度の失敗を経て、ハートマーケットを創業。前橋市中心街に8坪の店を開く。


ハートマーケット

1993年11月創業。前橋、高崎市の中心街に出店から郊外型に移し、2002年、前橋市川原町に旗艦店を出店する。全国展開を加速させ、店舗数は全国に60店以上ある。売上高は16年度に100億円。

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