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「めぶく。会社」佐田建設
土屋三幸社長に聞く
将来見据え「社員に投資」

2023.08.07

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「めぶく。会社」佐田建設
土屋三幸社長に聞く
将来見据え「社員に投資」

好業績に支えられ、初任給を9年ぶりに引き上げた佐田建設。同時に、定年を5年延長した。若い活力とベテランの経験を大事にしている。「社員への投資」と英断した土屋三幸社長にインタビューする。

会社に長く勤めてほしい

—初任給を9年ぶりに引き上げました。技術系は2割もの上昇。若手技術者への期待が感じられます。

「トップダウンで決めました。人的資源である社員に投資をしました。利益を出さないと給与を上げられないではなくて、利益を出すために賃上げしようと。

技術職は20万4000円から24万5000円になります。事務・営業系も上げました。

建設業はすごくアナログな職場で、人材ありきです。採用活動で首都圏のゼネコンと勝負し優秀な人材を確保するには、初任給を上げる必要がありました。社員が高齢化しており、若い人に入ってもらわないと、会社の将来がありません。

当然、すでに入社している若手の給与にも反映されます。これまで一人前になったと思ったら退職してしまう若手もいましたが、引き留めに少なからず効果があると信じています。

終身雇用制度はもう崩壊したと言われていますが、わが社は長く勤めてもらいたいと考えています」

▲「社員のモチベーションが上がった」と話す土屋社長

―同時に、定年を60歳から65歳に延長しました。

「再雇用は本来であればサポート的な立場になることを前提にしますが、実際には定年前と同じように主力になっている。どこの会社もそうですが、それなのに給与が下がってしまう。これはおかしい。

すでに再雇用になっていた65歳未満のシニアも社員に戻しました。給与が上がりましたから、モチベーションが全然違いますよ。

年金の満額受給が65歳からに引き上げられましたので、年金に頼らない給与体制にしたかった。経験を積んだベテランは大事な人材ですから」

―人事評価の「見える化」にも着手しました。

「ポイント制で能力を評価します。賞与に反映させます。下限を設定した上で、役職ごとに決められたポイントに評価で決まる係数を掛けたポイントで賞与が決まる仕組みです。

きちんと仕事をして結果を残せば賞与が高くなるし、仕事をしなければ低くなる。もちろん、昇進にもつながってきます。

そのためには評価を正しく行わなければなりません。好き嫌いで決めたり、上司が部下に嫌われないようにいたずらに甘く評価しては意味がありません。評価者研修をしっかり行っています。

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制遵守が適用されます。残業しないでも目標が達成できるよう効率的な業務遂行を進めていきます」

技術、営業職で女性が活躍

―建設・土木というと男社会のイメージがありますが、女性の積極活用が求められています。

「どの業界も人手不足が深刻です。人口の半分は女性ですから、ぜひ働いてもらいたい。女性の雇用や登用も会社評価のバロメーターになっていますし。

事務系は以前からいましたが、最近は技術系も入ってきました。女性が長くこの会社で働けるように、子供が小学校に入学するまでは時短勤務ができるようにしています。

技術職に女性が入ることで、職場の雰囲気も和やかになりますし、設計でも現場でも女性目線を活かした仕事ができると、事業主さんからお褒めの言葉をいただいています。

営業職でも女性の活躍は目覚ましい。説明が丁寧で先方も安心できるのでしょう。

今では管理職になっている人もいます。今後の活躍を大いに期待しているところです」

▲「株主への倍返し」に満足な土屋社長

―給与引き上げや福利厚生の充実は業績がいいからできることです。建設資材の高騰をはじめ悪条件が重なった中、2023年3月期連結決算では売上高が前期比13.0%と大幅に伸びました。

「公共事業が好調だったのが大きな要因でしょう。追加変更がうまくいかないと利益にならないのですが、その辺がよかった。収益性が上がりました。

大幅な増益となりましたので、株主配当は1株当たり26円と前期の2倍。いわゆる『倍(の恩)返し』ができた。利益還元ができ、大変うれしく思っています」

―資材の値上げ、人件費の上昇が続きます。今期の見通しはどうですか。

「繰り越しは少ないのですが、受注は順調です。

ただ、例えばいま、当社が実施している工事は2年前くらいの契約ですね。資機材、原材料の高騰局面で利益は圧迫されます。DX(デジタルトランスフォーメーション)とか、ワークフローの見直しにより、利益を生み出していきます。

今期は中期経営計画の2年目で、目標に掲げた数字は変更するつもりはありませんし、それにコミットしていくのみです」

太陽光発電100%を目指す

―人口減社会が続き、働き方改革でオフィス需要の低下が予想されます。10年後を見据え、どんな分野に力を入れていくのか戦略を聞かせてください。

「今後は、単純請負だけではやっていけなくなる。デザインビルドや設計施工案件に力を入れています。

単純請負では価格競争の渦に陥ってしまいます。安かろう悪かろうになり、トラブルの発生も懸念されます。設計施工により瑕疵担保がちゃんとできる。こういうところで差別化していきたい。

次に目指すのはPFIです。人口減で公共の仕事はますます減少していくことが予想される。民間資金を利用して施設整備を進める流れが今後は強まっていくでしょう。それに、うまく対応していかなければなりません」

―SDGsの取り組みも加速することが求められています。

「世界規模の課題である脱炭素社会に向けた活動を最重要課題に掲げています。

会社全体の年間消費電力は2021年実績で240万KWH。千葉県に年間190万KWH発電できる大規模なメガソーラーを昨年6月に稼働しました。

さらに、今年2月には本社敷地内に太陽光発電設備を備えたソーラーカーポートを整備しました。発電量は11万KWHで、本社使用量の2割をカバーできます。

合わせて、年間消費電力量の85%程度を太陽光で賄っています。各営業所や工場、社員寮にも進め、100%を目指したい。

最近の異常な電力料金の値上げを見込んでいたわけではありませんが、結果的には助かりましたね」

▲太陽光発電用のソーラーカーポート

―DXの推進はいかがですか。

「建設業は唯一無二のものを作っていかなくてはならない。現場ではマンパワーが幅を利かしていますが、働き方改革を進めるため、『残業をやめましょう』と指示すれば『じゃあ、人をください』ということになる。無駄を省いた効率的な人員配置が必要になる。

そこで、建設に特化したDX、建設DXの導入をコンサルタントの知見を得ながら進めています。現場で使いやすく、効果がないと意味がないですから。

同時に、土木系を中心にICT施工を進めます。これまで昼間は現場で働いて、夜になったら書類を作成するといった状況でしたが、ICT施工によりデータ化されれば省力化できます。

100年を超えて地域に根付いた総合建設会社として、安心安全な地域社会づくりにより一層貢献していきたい」

「建設女子」やっています

男社会だった建築・土木の世界にたくましく愛らしい女子が進出してきた。「私たちと一緒に仕事しましょう」。仲間を募集しています。

自分で考えながら仕事をする

下谷菜々子さん(2023年入社、土木本部工事部工事課)

現在、上信自動車道のボックスカルバートを造る工事に携わっています。現場では工事が日々進んでいくので、まったく同じ仕事がなく、毎日違う内容の仕事をしています。そのため、日々、自分で考えながらできることが増えていくことを実感できるとやりがいを感じています。

若手が活躍する現場が魅力

黒岩梓紗さん(2022年入社、土木本部工事部工事課

上司や先輩社員、協力会社の人たちの役に立てたり、感謝の言葉をもらえたりしたときに、仕事が楽しいと感じます。佐田建設は若い人の多さが魅力だと思います。20代だけの現場もあり、若手が活躍できるステージは整っています。現在、私は草津町で下水処理場を建設しています。出来上がったらぜひ草津温泉に足を運んでください。

構造物の完成 達成感大きい

本多希望さん(2021年入社、土木本部工事部工事課)

橋梁の下部工事を建設しています。昨年は道の駅の造成工事をしていたため、構造物を作成することが初めてでした。戸惑うことも多くありましたが、徐々に出来上がっていく建設物を目の当たりにすると達成感が大きく、やりがいを感じ、仕事に全力で取り組むことができました。

地域の人の笑顔にやりがい

髙橋秋乃さん(2022年入社、土木本部工事部工事課)

私が携わっていた工事現場は、利根川の堤防強化工事です。初めてICTを活用して行う現場だったため、戸惑うことも多く毎日大変でした。しかし工事完成後、地域のおじいちゃんやおばちゃんたちが堤防を毎日楽しそうに散歩をしているのを見て、最後まで頑張って良かったと感じることができました。

夢があり、知識が増える

戸塚想世さん(2017年入社、建築本部設計部設計課)

設計職のやりがいは何といっても、自分が描いた図面通りに建物が造られ、完成後は何十年も残り続けることです。法改正が頻繁にあり、常に知識のアップデートが必要な仕事ですが、佐田建設では大規模な建築物から小規模な建築物まで手掛けることができるため、ジャンルに固定されず幅広い知識を身につけることができます。

女性技術者の自信と楽しさ

田嶋真理子さん(2002年入社、建築本部設備部)

現場で図面を片手に大きな建築物を造り上げていく技術者に憧れ入社しました。入社当時は、女性技術者はほとんどおらず、「はたして女性に勤まるのか」という雰囲気もあり、自信の無さから落ち込むことも多々ありました。20年近く働いてきた現在、落ち込んでいる暇がない位の日々を過ごしており、様々な現場や設計に携わり、色々なことがクリアに見え、そこから新たな仕事の楽しさも感じています。

職人さんの作業に学ぶ

下田青さん(2021年入社、建築本部工事部工事課)

私はもともと規模の大きい建物の建設に興味があったため当社に入社しました。建物がどうやって造られていくのか、どんな材料を使ってどんな工法で、建物にとってそれがどんな役割があるのかを知りたかった。毎日、職人さんたちの作業を見て学ぶことも多くあり、この仕事の楽しさの一つであり、頑張れる源でもあります。

▲頑張る佐田建設女子部。左から下谷さん、黒岩さん、本多さん、高橋さん、戸塚さん、田嶋さん、下田さん

佐田建設歴史

大正9年3月
佐田徳蔵が佐田組を創業業
昭和24年10月
佐田組を改め法人組織佐田建設株式会社設立佐田一郎が代表取締役社長に就任
昭和24年10月
東京支店開設
昭和24年12月
建設業法により建設大臣登録
昭和26年2月
宇都宮出張所開設
昭和35年9月
埼玉支店開設
昭和37年8月
東京証券取引所市場第二部上場
昭和37年9月
本社所在地変更(新所在地 前橋市北曲輪町71番地)
昭和41年10月
大阪支店開設
昭和46年3月
本社所在地変更(新所在地 前橋市元総社町一丁目1番地の7)
昭和48年11月
東京証券取引所市場第一部上場
昭和49年3月
建設業法の改正により特定建設業者として建設大臣許可(特-48)第3567号、一般建設業者として建設大臣許可(般-48)第3567号の許可を受けた
昭和50年7月
宅地建物取引業法により宅地建物取引業者として建設大臣免許(1)第2111号の免許を受けた
昭和52年9月
取締役副社長佐田武夫が代表取締役社長に就任
昭和54年8月
(株)島田組の増資一部引受
昭和57年7月
宇都宮出張所を宇都宮支店に改称
昭和58年1月
名古屋営業所開設
昭和62年5月
(株)リフォーム群馬設立
昭和62年5月
(株)リフォーム埼玉設立
平成元年4月
水戸支店開設
平成5年7月
佐田道路(株)設立
平成8年4月
(株)リフォーム埼玉を彩光建設(株)に改称
平成8年12月
名古屋営業所を名古屋支店に改称
平成12年12月
埼玉支店と関東支店を統合し、さいたま支店に改称(関東支店閉鎖)
平成16年3月
栃木支店開設(宇都宮支店閉鎖)、茨城支店開設(水戸支店閉鎖)
平成16年4月
取締役副社長市ヶ谷隆信が代表取締役社長に就任
平成16年10月
(株)前橋機材センター設立
平成16年10月
佐田道路(株)、(株)島田組、(株)リフォーム群馬、彩光建設(株)、(株)前橋機材センターの5社を連結子会社とした
平成20年6月
常務取締役荒木徹が代表取締役社長に就任
平成23年1月
宅地建物取引業の免許換えを行ない群馬県知事(1)第7067号となる
平成30年6月
土屋三幸が代表取締役社長に就任

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