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戦没した父親への慰霊をテーマに
斉藤健司作品展8月9日まで

2022.08.02

戦没した父親への慰霊をテーマに
斉藤健司作品展8月9日まで

洋画家、斉藤健司さんの2年に1度の個展が8月9日までノイエス朝日で開かれている。テーマは「77年目の夏」。77年目とは、第二次世界大戦の終戦から77年ということだ。「日の丸」や「軍人勅諭」「戦陣訓」の文章など、戦争をイメージさせる素材をコラージュした新作の絵画27点が並ぶ。(取材/中村ひろみリポーター)

戦争を問い続ける

斉藤さんが2歳の時に亡くなった父親は、昭和19年7月、フィリピンのマニラに日本兵を運ぶ輸送船に船舶砲兵として乗船していた際、潜水艦からの攻撃を受け、そのまま水深2000㍍の海に眠る。高崎三十八部隊として徴兵されてから、わずか3カ月後のことだった。

▲「側壁」ゲートルが埋められている

▲「顔(4)」いくつもの素材を重ねて描かれた顔

以後半世紀、斉藤さん自身、父の戦死については封印してきたが、およそ25年前から中国や沖縄の戦跡への取材や、遺骨収集活動に参加。2000年の「個展-55年目の夏」から、はっきりとテーマに据えて、作品づくりを続けてきた。

絵の具が重なり、盛り上がり、木や布といった素材とともに描かれる作品には、収集活動を通じた戦争への複雑な思いが感じられる。

▲「77年目の夏(1)」大日本国防婦人会のたすきの文字が見える

毎回の個展は、少しずつ作画は変わりながら、そのテーマは一貫している。

「前回は、ひとつの作品の中に30人の顔を並べましたが、今年は顔の数を増やしました。集合写真だとみんな軍服で同じようにしか見えないが、顔は違う。ひとつひとつの顔からは思い思いの生き方が感じられるのに、集められてみんな一緒に死んでしまった。戦争とはそういうことです」と斉藤さん。

その作品から何かを思い返す人もいれば、初めて何かを学ぶ人もいるだろうが、2年に1度、ふれずにはいられない個展となっている。

▲会期中、在郎する斉藤さんが丁寧に質問に応えてくれる

斉藤健司作品展 -77年目の夏-

会  期:8月2日~9日

開館時間:10時~17時

会  場:ノイエス朝日スペース1・2(前橋市元総社町73-5)

観  覧:無料

問合せ先

ノイエス朝日

お問合せはこちら
027-255-3434
住所 前橋市元総社町73-5