watch
見たい
【密着ルポ】東京カメラ部10選
富久浩二さん 前橋市街地を撮る
2022.06.04
何気ない日常生活の中にも決定的瞬間があります。それをいち早く捉え、ドラマチックに切り取るスナップフォトの名手、富久浩二さん。2012年、2013年の東京カメラ部10選に選ばれています。5月の最終日曜、富久さんが初めて前橋を訪れ、中心街でスナップ撮影をしました。その様子を密着取材します。(取材/阿部奈穂子)
中央駐車場から銀座通りへ
おもしろオブジェが次々と
普通に撮らない、のが富久さんのルール。ガラスやショーウィンドウの反射を味方につけたり、ライブビューを使った低い目線を駆使したり、逆に思い切り背伸びした高さから撮影したり…。そこから奇想天外でドラマチックな一枚が生まれます。
初めての前橋で、富久さんがまず目を付けたのは、中央駐車場と中央イベント広場の境にあるパンチングが施されたボードでした。
銀座通りを進みます。ここは個性的な看板やオブジェが山盛りでした。富久さんが通ると何かハプニングが起こる。いや、私たちの周りにも何か起こっているんだけれど、それを見逃しているだけなのでしょう。
レトロで新鮮
中央通りはフォトジェニックだ
富久さんがとびきり気に入ったのは中央通りでした。「おもしろいものがギッシリ。こんなに撮りごたえのある商店街、久しぶりですね」とテンションはマックスです。
まずは、「すずはん」のショーウィンドウの反射を使い、道行く人を入れたショットを。こういう写真は富久さんの真骨頂ですね。
この日は中央イベント広場で、「キングオブピッツア」が行われていたため、いつもより人出が多かったようです。親子連れの姿もたくさん見られました。だから、こんなおもしろショットも。
呑龍横丁は
スナップの聖地になる
昨年、装いも新たに生まれ変わった飲み屋街「呑龍横丁」。色鮮やかな提灯、古い看板や朽ちかけたポスト。古いものと新しいものが混在しています。ここでは人と街が対話するようなドラマ性のある作品をたくさん撮られていました。
まだまだご紹介しきれない写真はたくさんあります。富久さんの目を通すと、いつも見慣れた前橋がまったく違った顔を見せるから不思議です。
「昭和が好きなボクにとって、前橋の商店街はとても魅力的。また近いうちに撮影に来ます」と約束してくれました。今度は広瀬川沿いや中央前橋駅付近、日本一小さい遊園地「るなぱあく」で、独自の視点を見せていただきたいです。次回をお待ちしています。
とみひさ・こうじ
フォトグラファー。1970年福岡生まれ。東京都在住。2012、2013年「東京カメラ部10選」に選出。2011年 イギリスのマガジンCamerapixioにて日本人初の掲載/2012年 ナッジオのDaily Dozen2回選出/2012年 インドのAPF Magazine Street Photographyにて日本人初の掲載/2012、2013、2014、2015年イラクでの国際写真展に展示。