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前橋に凱旋 高畑早苗さん
見て読むポートレート作品が集結
2025.09.13
前橋市出身で世界を舞台に活躍する現代美術作家、高畑早苗さんの個展「REWIND:2025◀◀1991」が9月13日、敷島公園のフリッツ・アートセンターで始まった。友人や妹にインタビューをしながら描いたポートレート15点を展示。極彩色のキャンバスとモデルたちの声が、時間を超えて交差する。
(取材/阿部奈穂子)
友人や妹を描いた15点
会場には、極彩色を大胆に重ねつつも緻密な筆致で人物の内面を浮かび上がらせる、鮮烈で情感豊かなポートレートが並ぶ。
高畑さんは前橋市岩神町に生まれ、岩神小、前橋三中を卒業した。会場となるフリッツ・アートセンターは自宅からほど近く、「群馬県内の方はもちろん、ご近所ともいえる場所なので、古くからの友人、知人たちにもぜひ見てもらいたい」と語る。
▲妹さんとその娘さんを描いた作品
今回の展示のきっかけは、ニューヨーク時代にもっとも影響を受けた音楽家の友人が昨年亡くなったことだった。「彼女の絵を飾りたい」との思いから企画が動き出した。
▲亡くなった友人とその夫を描いた作品
時を超えて、作品に寄せた声も
展示の中心となるのは、1991年から取り組んできたポートレートシリーズ。高畑さんは「どこにも所属していない自分を形づくったのは、出会った人々だった」と振り返り、友人にインタビューしながら作品を描き続けてきた。
▲ニューヨーク時代のギャラリーオーナー
各作品の前には椅子が置かれており、座面にはモデルとなった人が現在の視点から寄せた言葉が記されている。制作当時の姿と、時を経た声が重なり合うことで、絵画は新たな意味を帯び、観る者に深い印象を残す。
高畑さんは「作品は人との関わりの中で生まれるもの。ぜひ声を読みながら作品と向き合ってほしい」と呼びかける。
▲いまを生きるモデルからの声も展示
会期中にはアーティストトーク(10月11、12、25、26日13時から)や5歳以上の子ども向けワークショップ(10月11日13時30分~、参加費1000円、要予約)も開く。ワークショップでは元文学座の女優、和田裕子さんの昔話を聞きながら、「目の前に見えている世界」と違ったお話の中の世界。その意識で身近なものを使って好きなものを作る。
▲イキイキした表情が印象的
店舗情報
フリッツ・アートセンター
- お問合せはこちら
- 027-235-8989
| 住所 | 前橋市敷島町240-28 |
|---|---|
| 営業時間 | 11時~18時 |
| 定休日 | 火曜(祝日の場合はその翌日) |
| 入館料 | 無料 |
たかはた・さなえ
1959年前橋市生まれ。1977年、18歳で渡仏しパリのギャラリーにデビュー。81年に渡米、ニューヨークのZoma Galleryと専属契約し80年代を米国で過ごす。91年以降はポートレートシリーズ「Intimate Reflections」、土地や時代の空気を擬人化して描く「妄想聖域」などを展開。国内外で多数の個展を開催し、教育活動やラジオでも発信を続けている。


