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前橋高演劇部と応援団が熱演
リーディングシアターで平井晩村を描く
2025.01.12
文筆家、平井晩村生誕140年を記念し、1月12日、前橋文学館リーディングシアター「誠実と不条理~『平井晩村の作品と生涯』より~」が開かれた。「赤城颪(おろし)に送られて 学びの窓にあつまりし」と続く前橋高の校歌を作詞したことから、子供時代の晩村とその兄、喜代作は前橋高演劇部の小林文明さん(1年)と井田雄己さん(1年)が演じ、劇の最後には同高応援団5人が登場。迫力たっぷりに大先輩が作った校歌を歌い上げた。
(取材/阿部奈穂子)
涙を誘った兄弟の別れ
慣れない和服に下駄姿で、3歳から前橋中(現・前橋高)入学前までの晩村を演じた小林さんは「普段やっている演劇とリーディングシアターは違う。セリフに工夫を凝らしました」と話す。
どこへ行くにも一緒だった仲の良い晩村と兄の喜代作。家業の造り酒屋を継ぐため奉公に行くことを決めた喜代作が、弟に別れを告げるシーンでは会場の涙を誘った。「練習を重ねる度に未熟だった表現が良くなっていくのを実感できた」と喜代作役の井田さん。
1884(明治17)年、前橋に生まれた晩村は民謡「草津節」の原型や、前橋中の校歌を作詞したことで知られる。35年の短い生涯の中、詩にとどまらず、短歌や俳句、小説、紀行文など多彩なジャンルの作品を発表した。
リーディングシアターでは晩村の生き様を、二男の芳夫さんが記した本「平井晩村の作品と生涯」をもとに、劇団ザ・マルク・シアター代表の生方保光さんが脚本を書いた。
劇の最後、病のため息を引き取る晩村と入れ替わるように、前橋高の応援団員5人が登場した。
大きなアクションとともに、高らかに校歌を歌い上げた。「この歌の歴史をいかに伝えることができるのかと考えながら練習を積んできた。それと共に応援団は人々を励ますのが役割。今日は亡き晩村先輩と観客の皆さんを励ましにきました」と団長の飯塚開成さん(2年)。
前橋文学館リーディングシアターに高校生が出演するのは初めて。午前、午後の公演は各回80人の定員だったが、どちらも満席。キャンセル待ちがでるほどの人気となった。
平井晩村、前高生が演じる 1月12日、前橋文学館でリーディングシアター
前橋市出身の文筆家、平井晩村の生誕140年を記念し、前橋文学館は1月12日、「平井晩村を題材としたリーディングシアター…