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「鏡界の鳥居」一夜限りの灯
三夜沢赤城神社で夏祭り
2024.08.08
三夜沢赤城神社(前橋市三夜沢町)に奉納された「鏡界の鳥居」が8月4日夜、昨年11月に設置されて以来、初めて公開点灯され、参拝者を幻想的な世界に誘った。旧暦の7月1日に毎年開いている神社の夏祭りに合わせた企画。参拝者は宇宙の入口を再現した青白い光に、地球の明るい未来を心静かに祈った。
宇宙の入口を光で再現
午後6時、暮れなずむ鎮守の杜に青白い光を放つ鳥居が浮かび上がった。時間が過ぎ、辺りが暗闇に包まれるのに反比例して光は力強さを増していった。
鏡界の鳥居は「光のアーティスト」、渡邉辰吾さん(前橋市)が中之条ビエンナーレ2023に出品し話題となった作品。展示後、縁のある赤城神社に奉納され、拝殿に向かって右奥の森の中に取り付けられた。
高さ5㍍、幅5㍍の鏡で覆われたステンレス製の鳥居は、内蔵したネオン管から成層圏と宇宙の間にある色温度9500ケルビンの青白い光を発光する。「地球から出て宇宙を感じる光」と渡邉さんは説明する。
当初は恒常的に発光する予定だったが、強い光が森の生態系を傷つけてしまう恐れがあることから自らの意思で取りやめた。それでも、太陽の光を反射する光は日差しの強さや吹き抜ける風によって刻々と表情を変え、鎮守の杜に溶け込んでいる。
参道に子供たちの灯ろう
夏祭りでは地域の子供たちが絵を描いた灯ろうが参道に飾られ、参拝者を鎮守の杜まで導いた。初めて見る自ら光る鳥居を少し離れた場所から見つめ、光のメッセージをそれぞれ感じ取っていた。
渡邉さんは「数千年の歴史を持つ杜や神域に人の手やヒカリという表現が厳かに加えられることへの問いかけをたくさんの人たちに与えることができた。1日限りの非日常的な空間の中から何かを感じ取り、それを大切に持ち帰ってもらいたい」と満足そう。来年からも夏祭りに合わせて公開するとしている。