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前橋在住の日本画家、須藤和之さんの個展 
画廊翠巒で10日から

2024.02.09

前橋在住の日本画家、須藤和之さんの個展 
画廊翠巒で10日から

群馬銀行のカレンダーでお馴染み。前橋在住の日本画家、須藤和之さんの個展「須藤和之展ー安寧ー」が2月10日から画廊翠巒(すいらん)で開かれる。赤城山をはじめ、群馬の自然をモチーフにした新作約20点を発表する。岩絵具や水干(すいひ)絵具で描き出す神秘的で奥深い世界を見に行こう。(取材/柁原妙子リポーター)

祈りを込めて

縦112㌢ ×横194㌢の大きな画面に、黄色から赤茶色への美しいグラデーションの、幻想的な風景が広がる。タイトルは「風のたび」。昨年12月半ばから約1か月掛けて描かれた。赤城自然園で見つけたモチーフも使われているという。

「ただ絵を描く、ではなく、祈りに近い。自分の心を確認していくような作業で、それがやがて色や形になっていく」と須藤さん。

▲「風のたび」

須藤さんは2010年から14年間連続で、その年最初の個展を画廊翠巒で開いている。そこから北海道から九州まで全国各地へとはばたく。

「翠巒は彼にとってチャレンジの場所。今年の作品は、北陸の震災や世界各地で続く戦争を憂い、心の安定や穏やかさを願う作品が多いように思います」と同画廊代表の梅津宏規さん。

伝統的な日本画を継承する実力派として、「将来の日本画界を代表する作家になるだろう」と大きな期待を寄せる。

▲「森のめぶき」

吸い込まれるような安らぎ

須藤さんは高校時代に日本画を始め、東京藝術大学大学院では文化財保存学を専攻した。日本画家として重要な絵具の知識や使い方の技術はそのときに学んだという。

使用するのは岩絵具や水干(すいひ)絵具。

岩絵具は、例えば緑は銅の鉱石を砕いたもので、色の濃淡は同じ岩の粒の細かさの違いで作り出している。明るい色は粒子が小さく、暗い色は大きい。

人工的な絵具とは異なり、扱い方はデリケートで難しいが、須藤さんの奏でる色合いは吸い込まれるような安らぎに満ちている。

ぜひその目で確かめてはいかがだろう。

 

▲謙虚でおだやかな須藤さん

▲会場の様子

須藤和之(すとう・かずゆき)

1981年前橋生まれ。宮城中、前橋南高を卒業、多摩美術大で日本画を専攻し、その後東京藝術大 大学院で文化財保存学を研究。博士課程修了博士号取得。現在は慶應義塾大で非常勤講師も勤める。個展は県内外で開催。群馬銀行、中央電機商会など県内企業のカレンダーも手掛けている。

「前橋の美術2024 ーやわらかなバトンー」協力企画展
須藤和之 展 -安寧-
会期 2月10日(土)〜18日(日)10時30分〜19時※最終日17時まで
12日(月)は休廊
会場 画廊翠巒(すいらん)前橋市文京町1-47-1