【前橋まちなか新聞▶︎】本格江戸前寿司を 広瀬川のほとりで

海なし県の群馬でも本格江戸前寿司を味わえるお店がある。整備の進む広瀬川河緑地沿いに店を構える「寿司龍」は、カウンター7席程の小ぢんまりとした寿司屋だが、店内の大きな窓からは四季折々 の広瀬川の景色が楽しめる。店主の宮下さんは、県内にある桐生第一高校の調理科を卒業後、海無し県民の反骨精神から東京は築地の老舗 「寿司清」の門を叩いた。20年の板前修行を経たのち、兼ねてから目標としていた地元・前橋での独立のため帰省。21年7月、現在の場所に看板を掲げ…と、話に花を咲かせているうちに熟練の手捌きで お寿司が握られていく。まずはあおさの味噌汁を一口、磯の香りが口に広がり準備は万端。天然のインドマグロは濃厚な甘みがねっとりと広がり、脂の乗ったイワシは口の中でとろけ、イクラはプチプチと弾け旨みが広がる。新鮮なネタは世界最大規模の魚市場・豊洲市場か らの直送。「回転寿司しか知らない今の若い子達に本当の美味しい お寿司を伝えたい。」と言う店主の粋な計らいから、ランチ握りは赤字覚悟の千円。「倒れるまで寿司を握りたい。」と言う宮下さんの挑戦は始まったばかり。次回は少し得意気 に職場の同僚や後輩を連れ、江戸前寿司と夜の広瀬川を肴に一杯やりたいものだ。