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学びたい
「前橋は世界のモデルになる」
前橋国際大教授就任の國領氏
2024.01.09
共愛学園前橋国際大(前橋市小屋原町)に新設される新学部「デジタル・グリーン学部」の教授と「サイバー文明研究センター」のセンター長への就任が決まっている慶応大の國領二郎教授は1月9日、前橋国際大で記者会見した。めぶくIDを活用した前橋市の取り組みを評価し、「世界のモデルになるまちづくりができる」と抱負を語った。サイバーセンターの名誉センター長には「インターネットの祖父」と称されるデイビッド・ファーバー氏の招へいも決まっており、「マエバシの名が世界に轟くことになる」と“予言”した。
2025年にセンター、新学部は26年
國領氏は自らもアーキテクトとして参画した前橋市のデジタル田園都市構想の特長を「デジタルというと『道具』が先になりがちだが、そうではなく『めぶく』とか『共助』といった実現したい社会のビジョンをしっかり持っていた」と解説した。
めぶくIDに関しては「これほどの理想形のものが現実の形として動き始めているのは世界で最先端をいっている」「仕組みを地方発で世界に発信できる」と最大級の賛辞を送るとともに、これからの研究活動の拠点として前橋市を選んだ理由とした。
慶応大で中心となって創設、運営しているサイバー文明研究センターの役割については「官・民・学が連携してプロジェクトに取り組むための組織」と説明。ライフワークとして取り組むため、前橋国際大からの教授の招へいにあたり、設置を提案したことを明らかにした。
サイバーセンター開設の前段階として、今年4月に「地域ICTラボ」を設置、地域教育のDX支援や企業との共同研究を展開する。國領氏は客員教授として指導、助言にあたる。
サイバーセンターは2025年4月に開設、名誉センター長にファーバー氏、センター長に國領氏が就任する。並行して、新学部開設の準備を進め、2026年4月に第1期生を受け入れる計画。
前橋の未来に大きな意味
前橋市と前橋国際大は包括提携を結び地域づくりで連携しているとともに、國領氏が市のデジタル分野のアーキテクトを長く務めていることから、会見は市と大学と合同で開いた。
山本市長は「國領先生の著書『サイバー文明論』を読み、我々が推進してきたデジタルグリーンシティが間違っていなかったと励まされた。めぶくIDを使って誰もがウェルビーイングを実感できる歩みを確実にしてくれる」と歓迎した。
大森昭生学長は「世界的な権威である2人が小さなまち、小さな大学を選んでくれたことは驚きと感動を持って受け止められる」と喜びを表現した。ファーバー氏には「公開講座のような形で市民に広く『知』を還元できる機会を設けたい。前橋でないと聞けない話をしていただきたい」と期待を寄せた。
國領二郎(こくりょう・じろう)
1959年、米国生まれ。東京大経済学部卒業後、日本電信電話公社(現NTT)勤務を経て、ハーバード・ビジネス・スクールで修士、博士を取得する。2000年に慶応大教授に就任、湘南藤沢キャンパス研究所長、総合政策学部長、常任理事、学会や政府の要職を歴任。ぐんまイノベーションアワード(GIA)審査委員長、前橋市のデジタル田園都市国家構想アーキテクト、めぶくグラウンド取締役兼データガバナンス委員長を務めている。
David Farber(デイビッド・ファーバー)
1934年、米国生まれ。スティーブンス工科大卒。電話会社製造部門関連のベル研究所に勤務、1960年代に開発したプログラミング言語のSNOBOL(スノボル)は現在でも使われ、「インターネットの祖父」と称されている。2018年、米国科学振興協会のフェローに選ばれたほか、コミュニケーション業界に対する貢献を評価されSigcomm賞を受賞。慶応大サイバー文明研究センターの共同センター長。