study
学びたい
BRTの中心街導入目指そう
前橋で都市デザインシンポジウム
2023.12.21
過度な車依存、スプロール化といった課題を抱えながら、「めぶく。」のビジョンのもとに新たなまちづくりを進める前橋市の都市デザインを考えるシンポジウムが12月20日、市内で開かれた。バスを基盤とした輸送システム、BRT(バス・ラピッド・トランジット)の中心街への導入や地域の魅力づくりについてパネリストと来場者が意見を交わした。宇都宮市が専用レールを使う次世代型のLRT(ライト・レール・トランジット)で注目を集める中、山本龍市長は「公共交通はまちづくりの第一歩」と強調、既存のバスを活用したBRTの推進に意欲をみせた。
公共交通の活性化が不可欠
パネルディスカッションで、山本市長は前橋市が先導し群馬県全域に広がりつつあるデジタル技術を活用したアプリ「グンマース」や利用者が急増しているシェアサイクル「コグベ」の実績を示した上で、「新たなまちづくりにはBRTという太い背骨が必要。問題はいかにハブを作って行きたいエリアに快適に行けるようにすることだ」と強調した。
宇都宮市と二拠点生活している前橋デザインコミッション(MDC)の日下田伸企画局長は「LRTが起爆剤になってすごいねと言われるが、中心市街地は(今年8月の開業の)数年前から価値が上がっていた。子供の数が違った」と郊外に流出していた人口の中心街への回帰が進んでいた状況を紹介した。
基調講演に続いてパネルディスカッションに加わった森本章倫早稲田大教授は、BRTの生命線を「定時制を担保できるかにある」と指摘、JR前橋駅と上毛電鉄の中央前橋駅を結ぶ路線上にある五差路がボトルネックになるとして、早急な解消を求めた。
歴史的なまちづくり進めよう
前橋商工会議所の石井繁紀まちづくり専門委員会副委員長は公共交通の利用促進には「目的地が大切」との持論を展開、「歴史的な視点からのまちづくりを進めたい。前橋城の復元を含めて魅力を高め、前橋のプライドを取り戻したい」と呼び掛けた。
来場者からどんな都市を目指すのか問われた山本市長は「ポートランドを目指している、頑なに、頑なに」と即答。別の来場者が「緑多いまちはいい。いまある風景を生かしながらいいまちにして」と背中を押した。
コーディネーターを務めた前橋工科大の森田哲夫教授は①グリーンでインフラを作る②公共交通で軸を作る③多様な期待を受け止める魅力を作る—が新たな価値を創造する都市デザインに求められると総括した。
シンポジウムは公共交通再生と都市空間のあり方を議論してもらおうと、前橋市、前橋商工会議所、MDCが主催した。