news

NEWS

「月に吠える」初版無削除版
前橋文学館で29日から公開

2022.01.27

「月に吠える」初版無削除版
前橋文学館で29日から公開

 

萩原朔太郎の第一詩集『月に吠える』の初版無削除版が25日から、前橋文学館で公開される。検閲で削除された2編の詩集を含め、朔太郎が初の詩集に魂を込めた全作品が掲載されている。

 「風俗壊乱」で削除された2編

 

『月に吠える』は1917(大正6)年に刊行された。同年2月、出版社から書店に送本されたが、内務省の検閲により、「愛憐」と「恋を恋する人」の2編が「風俗壊乱にあたる」として、発刊直前に削除を命じられた経緯がある。

初版はこの2編を除く54編を掲載し発刊されたが、発刊前に朔太郎が少数の親しい人に配った詩集には2編も含まれ、無削除版と呼ばれている。前橋文学館によると、現存するのは10点ほどしかなく、非常に希少性が高いとされている。

公開するのは千葉県にある秀明大の川島幸希学長が所有していた一冊。昨年12月、前橋女子高出身の母親が亡くなったことなどから前橋市に寄贈した。
記念展では無削除版の実物をはじめ、2編の生原稿、朔太郎が煥乎堂の高橋元吉に宛てた発売差し止めを求める書簡、上毛新聞に掲載された「風俗壊乱の詩とは何ぞ」と題した寄稿文を展示する。

音信不通の家族と再会出来たよう

 

前橋文学館の萩原朔美館長は「開館以来、前橋文学館に無かった無削除の初版本が、学長の川島さんから寄贈され公開出来たことは、とても嬉しく、まるで音信不通だった家族と再会出来たような喜びがあります。無削除初版本を見て、出版された当時の状況を想像し、ページに染み込んだ長い時間を感じて、本の人生の物語を読み取っていただければ幸いです」と話している。

※写真提供/前橋文学館

月に吠える
月に吠える

「『月に吠える』初版無削除版収蔵記念展」

・会 期 1月29日(土)~2月5日(土) ・時 間 9時~17時 ・会 場 前橋文学館・二階常設展示室 ・観覧料 無料