interview
聞きたい
【聞きたい山井太会長3▶︎】赤城山×スノーピーク
キャンプは究極のリアル体験
2022.07.27
現在のキャンプスタイルを作り上げたスノーピーク。アウトドア用品の会社ではあるが、主な生業はデザインだと山井太会長は強調する。「キャンプの力とデザインの力」を信じ、全国で100以上の地方創生に取り組んできた。オートキャンプを中心としたアウトドアのブームはまだ続くのだろうか
日本の社会が豊かになった証拠
―家族や友人と楽しむキャンプに加え、ソロキャンプまでブームになりました。高級志向のグランピングも人気急上昇中です。アウトドアのこれから、どう予測しますか。
「80年代の半ばまでキャンプはそんなに豊かなものとは社会から認識されませんでした。私の父もロッククライマーでしたが、キャンプというと登山が中心でしたね。汗臭く、忍耐が求められる世界。おしゃれとはまったく無縁でした。
80年代後半からおしゃれなキャンプをスノーピークが可視化させてきました。デザイン性に富んだ機能的な商品を開発し、提供してきました。そこから30数年たち、日本のキャンプシーンは多様化してきた。そう自負しています。
アウトドアのカテゴリーが幅広になってきましたね。オートキャンプあり、ソロキャンプやグランピングありといろいろなスタイルが具現化してきた。すっかりおしゃれになりました。日本の社会が豊かになった証拠でしょう」
デジタル社会とバランス取る
―汗とか、忍耐とか無縁になりましたね。ここ数年、さらに加速してきたように感じます。
「デジタルが生活の必需品となりました。子供たちは生まれた時から普通に接している。ともすれば、日常的にはリアルな自然体験から遠ざかってしまい、バーチャルな世界にのみ身を寄せているともいえるでしょう。
キャンプとか野遊びは究極のリアル体験です。現代社会でデジタルから逃れることはできません。デジタルの恩恵を享受しつつ、一方でバランスを取って人間的な生活、人生を送ることを可能にするのがキャンプであり、野遊びです。
ストレスを解消し、癒されながら豊かな生活を送ろうというのが、社会のファンダメンタルになってきました」
―新型コロナがまん延する中、ワーケーションという新しいビジネススタイルも生まれました。
「コロナがアウトドア志向を加速させたともいえます。ステイホームと言われ、僕らもアウトドアの会社なのに、家にいろと強制されてしまいました(笑)。インドアを強いられた反動でアウトドアに行きたいという気持ちが強まったと分析できます。
この2、3年、コロナがきてからキャンプを始めた人も多かったみたいです。アウトドアグッズの販売もお陰様で好調です。
都会から離れて、自然の中で密にならないように、ゆったり、まったり過ごすことに喜びを見いだせるようになった人が増えたわけです。ソロキャンプなんて、典型的なソーシャルディスタンスですからね(笑)。
デジタル化が進む限り、ブームは続きます。というより、普通のライフスタイルになっていくでしょう」
やまい・とおる
1959年12月、新潟県三条市生まれ。明治大商学部卒。外資系商社を経て父が創業した登山用品販売のヤマコウに入社する。96年に社長に就任、オートキャンプに力を入れ、地元・燕三条の職人技に裏打ちされたハイエンドで革新的なアウトドアグッズを開発している。2020年3月。還暦を機に社長を娘の梨沙氏とし、自らは会長となった。
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